MDT(マッケンジー法)とは

私が徒手療法のなかでもよく使う手技の中にMDT(マッケンジーMackenzie法)があります。

日本では腰をそらす体操程度に思われがちですが、エビデンスも多く世界的にはとても有名な徒手療法です。

興味がある方は技術を学ぶこともおすすめですし、考え方を知っておくだけでも整骨院の治療に活かせることがあると思います。

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マッケンジー法(The McKenzie Method of Mechanical Diagnosis and Therapy)とは

MDTはロビンマッケンジーが発足させた四肢や脊椎に対する理学療法でセルフエクササイズや患者さんにも協力を得ながら行う治療法です。

それは

①セラピストへの依存を助長せず、主体性を引き出すため

②再発した際も痛みを自己管理できるようにするため

が主な理由です。

実際にセラピストの徒手療法だけの治療より、患者さんも積極的に治療へ関わったほうが成績が良いという研究報告が多くあります。

もちろんマッケンジー法も徒手的介入はありますが、それは『クライアント一人では取りきれない痛みがある場合に、痛みを自己管理するためのアシストとして用いる』という位置づけです。整骨院でもうまく応用すると再発予防やより早く痛みを除去することができます。

ロビンマッケンジーの経歴

1931年:ニュージーランド・オークランド生まれ

1953年:ワイララパ大学とニュージーランド理学療法大学を卒業後、ウェリントンで脊椎を専門にした理学療法クリニックを開業。

1960年代:マッケンジー法を開発

1982年:マッケンジー協会が理学療法士と医師により設立。
「理学療法と健康福祉への優れた貢献」として米国理学療法士協会の終身名誉会員に。

1983年:国際脊椎学会会員

1984年:米国腰椎学会研究会員

1987年:ニュージーランド徒手療法協会終身名誉会員

1990年:イギリス理学療法士協会名誉評議員

2000年:ニュージーランド功労賞を受賞

2004年:理学療法士向けの専門誌『アドバンス』で、米国理学療法士協会所属の理学療法士320名に行われた「整形外科理学療法で最も影響を受けた理学療法士や医師は誰ですか?」という問いで最も多かった答えは「ロビン・マッケンジー」であった。

引用

マッケンジー法が行う分類

マッケンジー法では適切な治療や指導をするために、患者さんを以下の4つのSyndromeに分類します。

この分類に用いる主な評価が『問診』と『力学的負荷テスト』です。

①Postural syndorome

②Disfunction syndorome

③Derangementsyndrome

④分類不能

分類について詳しくはこちら

これらに 分類すると治療方針は決まるため、問診とテストに時間を使います。

日本におけるマッケンジーのイメージ

世界的な理学療法であるマッケンジーは、日本においてマッケンジーは誤解されていると思います。 私もマッケンジー法は良い治療だと知り合いに話すと「腰反るやつね!俺もやるよ!」なんて言われちゃったりします。

そこでMDTの真相をここにかいておこうと思います笑っ

マッケンジー(MDT)は腰を反らす体操の事ではない!

ロビンマッケンジー先生がMDTを生み出したきっかけで有名なのが、

腰椎伸展位が腰痛に最も悪いと言われた時代に、クリニックで患者さんを治療中ベットが起きた状態なのを忘れたまま患者さんにベッドに寝て待つように指示し、その場を離れてしまいました。

しばらくして戻るとその患者はうつ伏せになり背中が反った状態で待っていました。焦ったマッケンジー先生は患者に質問したところ腰痛がすっかり良くなっていました。

このことがきっかけとなり色々な試行錯誤をくり返しながらマッケンジー法を作り上げていったのです。 この有名なエピソードによって腰椎伸展を用いたアプローチのイメージが強いのでしょう。

当初は腰椎伸展位の有効性を取り入れたため伸展エクササイズがマッケンジーのメインでした。

しかし、MDTは現在に至るまで世界各地で脊柱に対する診断・治療方法として広く活用され、そして様々な研究によってMDTの検証が行われ、その効果が証明されています。その過程で伸展のみではなく様々な方向に力学的負荷を加え、その中で反応が良い負荷をエクササイズとして採用するという方針をとっています。

確かに伸展エクササイズを処方する人の割合の方が多いのは事実ですが、処方内容はあくまで検査によって決定します。

例えば屈曲方向への負荷により疼痛の軽減を得られるのであれば屈曲エクササイズを処方します。

なのでウィリアムス体操が腰椎屈曲運動で、マッケンジー体操が腰椎伸展運動といったイメージは間違っているのです。

知り合いの柔道整復師にも患者さんに伸展エクササイズをやらせたら悪化した!マッケンジーが良くない!なんて先生がいましたが、それは誤りです。

ちゃんと検査をして伸展が必要ならば処方しますが、その人には側方へのアプローチが必要なのかもしれません。それが本当のマッケンジーなのです。

ちゃんと問診してますか?と言いたくなりますね!

 マッケンジー法は腰に対する理学療法ではない!

上記したように腰痛へのアプローチからマッケンジー法は生まれましたが、大分前から腰に対するアプローチを元に頚椎・胸椎・四肢に対してのアプローチもあり、エビデンスもあります。

関節へのアプローチを理解すると学校では教えてくれない柔道整復術がわかってきますよ。

ギプスを巻くような大怪我だけが柔道整復師の適応ではありません。

私は整形勤務も長かったので大きな外傷や固定法もしっかりと出来ますが。

覚えておくと役に立つMDTの考え

MDTを知らなくてもこれを知っておくだけで整骨院での治療業務に役に立つ用語を紹介します。

おすすめの本

おわりに

MDTは痛みの原因にアプローチしたり、再発予防にアプローチ出来たりと、柔道整復術に組み合わせられるとてもおすすめの徒手療法です。

脊椎や各関節の整復法も覚えられるし考え方がとても役に立つので是非学んでみてください。

また、私は国際マッケンジー協会認定セラピスト(Credentialed MDT)を取得しているわけではないので、マッケンジー法を学ばれている方で修正が必要な箇所を発見された方がいれば、是非ご連絡ください。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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