MDT(マッケンジー法)の分類

MDT(The McKenzie Method of Mechanical Diagnosis and Therapy :マッケンジー法)による分類をもう少し細かく書いていきます。

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Posturalsyndorome(ポスチャルシンドローム)

ポスチャルシンドローム(Postural syndorome)とは、 姿勢による持続的な負担が痛みを誘発してしまう症候群の事を言います。

なので可動や負荷をかける徒手検査で異常所見は得られず、姿勢を正す事により痛みが軽減するといった特徴があります。

整骨院では自費の治療分野になる症例が多いと思います。

ですからアプローチ方法は『痛みの出ない姿勢の学習』という事になります。

姿勢学習を行っている柔道整復師はよく見かけますし、姿勢をよくしてください!と声をかける整骨院も多いのと思います。

そんなのは当たり前じゃん!と思うかも知れませんが、この姿勢学習が実際は上手くいっていない柔道整復師が多いと思います。

どれだけ姿勢の大切さを分かりやすく説明しても日常では行ってもらえない事が多いのではないでしょうか?

その時は「分かりました」と返事してくれるのに・・・

再び指導すると「姿勢が大事なのは分かっているんですけどね・・・」と言われたり。

そもそも、良い姿勢が大事と分かっているはずの柔道整復師も、姿勢の悪い人が多いですよね。

私自身も若いときは色んな人から姿勢が悪いと言われました。

しかし今は姿勢良いですよね!と誉められますし、それによって痛みや凝りをあまり感じなくなりました。

整骨院業界も色んな流派や独自の治療法など沢山の派閥を見かけますが、『良い姿勢』はどの整骨院も共通して強調しています。

しかし臨床で患者さんにはなかなか守ってもらえない事も多いのではないでしょうか?

MDTも同様に『姿勢の重要性』を強調していますが、ホームエクササイズも含め、患者教育に一番重きを置いているという点で、他よりも具体的な姿勢学習の仕方が学べます。

マッケンジーは患者教育のデモンストレーションやエクササイズの効果判定や再評価・再教育などの講習会も行っています。

姿勢学習をする際は、患者さん自身に姿勢の重要性を通院中に体験・実感してもらうという事がポイントになります。

例えば

○分かりやすく姿勢の大切さを伝える為に指を反らし持続的ストレスが与える影響を体感してもらう

○どうしても不良姿勢を取らないといけない人へ環境整備の提案・合間での効果的な運動を指示

など、色んな手法を説明に用いたり、患者さんの状態に合わせた対応策を提案したりして患者さん自身を教育していくことが大切になります。

ちなみにポスチャルシンドロームは姿勢の影響のみが痛みの原因になっているものを指し、他の状態にも良姿勢は整復位を維持するという意味では大切です。姿勢指導が重要なのはポスチャルシンドロームのみという訳では無いので誤解しないで下さいね。

Disfunctionsyndorome(ディスファンクションシンドローム)

MDTにおけるディスファンクションシンドローム(Disfunction syndorome)の定義は、「拘縮・瘢痕・癒着・適応短縮・不完全な修復によって構造的な異常をきたした組織へ伸張負荷が加わることによってのみ痛みが生じる症候群」です。

病態を限局していて、負荷を加えた際は、『問題となる組織が伸張される方向への動きをした際にのみ痛みが出現する』『組織が伸張される動きを止めれば痛みも消失し、これらの動きを反復しても短期間・短時間での著明な変化は起こらない』といった反応を示すものとしています。

要は、可動域の途中でも痛みが出現したり、反復や持続的な負荷を加えた際に疼痛の緩和や増悪・可動域の拡大や減少などが起こったり、可動域の最終域で生じた痛みが長期的に残存してしまうような反応は、ディスファンクションシンドロームには当てはまらないという事になります。

なので整骨院では軽度の挫傷や捻挫をほっといた後に起こる癒着などで保険適応になるものもあれば自費で対応するものもあるでしょう。

アプローチは、問題となる組織を伸張していくか、その組織に伸張ストレスが加わりやすくなっている状況を改善していく事になります。

この考えにMDTと筋膜・筋間・組織間リリースを組み合わせると即時的な効果を認められます。ただし癒着が強かったり拘縮しているものは、繰り返す必要があるので確りと患者さんにも説明し、必要なexも処方しましょう。

また脊柱に関してはディスファンクションシンドロームの中に神経根癒着という病態も含まれます。

MDTは『筋骨格系の問題(特に脊柱原性の問題)においては原因組織を特定するのは多くの場合困難である』との考えから原因組織特定に重きを置いていません。

ですが、ディスファンクションシンドロームに関しては神経根癒着だったり、腱に限局したディスファンクションだったり、原因組織を特定してアプローチする事もあります。

Derangementsyndrome(ディレンジメントシンドローム)

ディレンジメントシンドローム(Derangement syndrome)とは、「短時間・短期間で痛みの強さや部位が変化しうる症候群」のことを指します。

良くも悪くも、負荷が加わる事により色々な反応が起り、それらの反応を評価してに治療していきます。

ダメージをきっかけにディレンジメントになった場合は保険の適用になりますし、整復によって痛みを寛解させる事も可能です。

更にディレンジメントシンドロームは、整復不能な物と整復可能な物に分かれます。

この中で、整復可能な物とはDP(Directional Preference)「好ましい反応が得られる特定な力学的負荷の方向」が存在する物です。

この方向への運動を治療にも応用します。

しかし、DPというのは簡単に見つけられる時もあれば、なかなか見つからない時もあるので注意しなければいけません。

解剖学と関節運動学を理解したハンドリングが必要となり、適切な負荷でなかったり(Force progressions)、その症例に合った負荷の入れ方が行われてないと(Force alternativesの概念)、DPを検出出来ません。

また、運動中に一時的な痛みが伴うDPという時もあり、必ずしも良い反応が伴うとは限りません。

この『DP』は痛みの度合いや可動域の改善で判断することはもちろん、Centralization(脊柱原生で四肢に生じている痛みが適切な負荷を加えることによって、直ちにあるいは結果的に消失もしくは中央化する現象)

やperipheralization(逆に末梢に移動する現象)でも判断していきます。

評価によってディレンジメントシンドロームでDPが検出出来るものを『整復可能なディレンジメント』と分類し、MDTのコンセプトに乗っ取ってアプローチしていきます。

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おわりに

MDTの整復法は応用して柔道整復師に組み込めます。

また、MDTのアプローチは、『整復』のみではなく、
①整復⇒②整復した状態の維持⇒③再発予防
という順序で段階的にアプローチして、患者さん自身も自己管理出来る事をゴールとしています。(痛みが再発しにくく、再発したとしてもある程度なら自分で対応出来る)

なので今の時代のニーズにも適していると思いますよ(^^)

最後までお読み頂きありがとうございました。

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