脊椎は側屈する際に、回旋が付随して起こります。
これをカップリングモーションといいます。
脊椎の運動学は理解しておくと、脊椎の整復やモビリゼーションに役立ちます。
また動作分析やモーションパルペーション(動きの中の関節の運動異常)等の検査にも役立ちます。整骨院では細かい運動学を知らずにただ背骨に動きをつける、捻れてる逆側に動かせば良いと思っている柔道整復師をよく見かけます。
ワンランク上の治療技術を目指す柔道整復師は、こういった細かい知識を決しておろそかにせず、しっかり理解しておきましょう。
脊柱カップリングパターン
脊椎の側屈時には、カップリングモーションによって、自然に側屈と回旋が組み合わさって動きが生じます。
それぞれの部位によってカップリングモーションの起こり方が違うのでしっかりチェックして起きましょう!
〇下位頸椎:側屈と回旋が同方向におこります。
(例:右側屈時に右回旋がおこる)
大事なのは上部頸椎は代償性のカップリングモーションが生じる
〇上位頸椎:側屈と回旋が逆方向におこります。
(例:右側屈時に左回旋がおこる)
上位頚椎のカップリングモーションを起こさせずに純粋に側屈させると、肩先を見るような形の側屈になります。
真横に首を倒すときはそれだけ無意識に逆側の回旋が付随しています。
なので例えば右側屈時に右下部頚椎のfacet jointに痛みがあり側屈出来ない方に患部にモビリゼーションを行っても痛みが取れないときは、C1でカップリングモーションが過剰に起き、患部facetjointの上側の椎体が引っ張られ側屈方向へ滑れなくなっているという事があります。
その場合はC1-2間を右回旋方向へ整復しながら右側屈を行うと、患部の関節も確りと動くようになります。
細かい話をするとC1-2間も左右どちらのfacetに問題があるのか、C2が捻れているのか、C1が捻れているのか、あるいはそれら両方のPositional fault (関節の位置異常)のバランスをみながら整復をします。この辺は実技の方で細かく話していきたいですね!
ご要望があればご連絡ください。
〇上部・中部胸椎:側屈と回旋が同方向に起こります。
(例:右側屈時に右回旋が起こる)
〇下部胸椎:側屈と回旋が逆方向に起こります。ただし、前屈位では同方向に回旋が起こります。
(例:右側屈時に左回旋が起こる。)
〇腰椎:側屈と回旋が逆方向に起こります。
(例:左側屈時に右回旋が起こる)
最後に
これらの運動学を理解すると、脊椎の関節にモビリゼーションを行う時の引き出しが増えます。
スプリングテストやリスティングに等のスタティックパルペーションのみではなく、動作中に起こる関節運動の異常や亜脱臼をイメージし整復を行う(動作の整復を行う)・整復をしながら正しい動きに導けるようなハンドリングを身に付けると治療が楽しくなりますよ(^^)
患者さんが何で?痛かったのに痛くない?!となったときに柔整師冥利につきます。
最後までお読み頂きありがとうございました。