MDT(マッケンジー法) DPについて

私はマリガンコンセプトと一緒によく使う徒手療法にMDTがありますが、

マッケンジーの考えに『DP(Directional Preference)』というものがあります。

これが柔道整復師にとってもとても役に立つので紹介しますね(^^)

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DP(Directional Preference)について

DP(Directional Preference)とは

短時間・短期間(長くて3~4日)にクライアントの状態を改善させる特定の負荷方向のことです。

DPは、筋・骨格性疾患の疼痛に関して表れる所見です。

DP(Directional Preference)が検知できる意味

DPが検知できるということは2つの意味があります。

①DPが検知できるということは、Derangement syndromeであることを意味します。要は筋肉や関節等にズレがあるという証拠になるわけです。

②DPを治療(運動療法・徒手療法・日常生活指導)に組み込むことで、より良い反応が期待できます。

DPを検出できる事は治療にとってとても大切である。

筋骨格系の問題を抱えた多くの患者では、DP(状態を短時間・短期間で改善させる特定の負荷方向)があります。

腰・頸部であれば70%の患者がDPが検知できると言われてますしMDTは脊柱や腰のイメージが強いかもしれませんが、四肢もマッケンジー法の対象です。

DPを検出することによって

状態を短時間・短期間で改善させることが出来き、さらにストレッチやエクササイズ等セルフマネジメント・再発予防に活かせる

DPの有無を活用すると、間違ったアプローチ、勘で行う治療から、正しい治療を選択しやすくなる。

クリニカルリーズニングの答え合わせが出来るです。

なおDPはすべての人に検出される訳ではありません。

マッケンジーの研究では、特に、若年者、発症から間もない患者においては高い確率で認められると述べています。

一方で高齢者や発症からの期間が長い慢性の物ほど、DPとCentralisationの検出率は低下します。

高齢者ではcentralisationの検出率は若年者よりも低く21%でした。

ただ、DPは、多くの高齢者(87%)でも検出されました。

DPは若い人よりも下がりますが高齢者でも多く認められ、効果的なマネージメントを提供できるということになります。

ちなみに初診時に検出されたDPとCentralisationの2つの因子が、どちらのほうが、通院終了時の痛み、機能の予後因子としてより有用かを比較検証したところCentralisationは、重要な予後予測因子として認められました。

一方、DPは、Centralisationを伴っていなければ、機能の予後予測因子としてはあまり有用ではなかったが、痛みの予後因子としてはCentralisationを伴っていなくても、有用であることが示されました。

また画像所見とDPは関連してないことが多いという研究結果もあり、むしろ画像所見は、治療プランを立てる際にマイナスになることもあります。

例えば腰部脊柱管狭窄症47名中、38%はderangementと分類され、33名(70%)は伸展がDPでした。しかし脊柱管狭窄症だと伸展をさせない事を第1選択してしまう柔道整復師も多いと思います。

私の臨床経験でも、伸展がDPの患者さんは多いとおもいますが細かく言うとどうやって伸展させるかというところに技術力の差が出てくると思います。

セントラライゼーションについてはこちら

DPを検出する際のポイント

私がDPを検出する際の例

○簡単に腰部捻挫が「腰部伸展」という刺激によって好反応が得られれば「DPは腰部伸展」となりますが、ハンドリングにより「L5を前方へ滑らせながら左回旋方向へ整復しながらL4を後方へ滑らせた位置で伸展をさせるとDPを検出」といったように細かい操作をDPとすることが多々あります

○膝の歩行時痛が「膝屈曲最終域での後方滑りモビリゼーション」という刺激で改善されれば「DPは膝関節屈曲である」ということになりますし、「屈曲・内旋位で前方引きだしを加えながらの屈曲がDP」となることもあります。

DPを検出する際の注意点

①完全に痛みが取れないと関節可動最終域(end rang)まで十分に動かせません。勿論、動かせるようになるのが理想ですし、erまで行けたならばオーバープレッシャーを加えるなどしますが、痛みが強いときはerまで辿り着かないので可動域の変化や痛みの増減を確認しながらDPを検出しましょう。

ハンドリングが正しかったとしてもerまで動かせていないためにDPが検出しにくくなります。またDPはerまでいけると治療効果が高くなります

②刺激を入れた際に、痛みが出現する方向であってもDPの可能性があります。転位した状態で固まってると整復位に骨が移動する過程で痛みを感じることがありますが、DPの場合は2回~3回で痛みが軽減します。

これをパラドックスオブムーブメントと言います。→詳しくはこちら

③刺激の強さ・入れ方(異なる肢位での実施など)や方向によってはDPの検出率に差が出ます。ハンドリングと『フォースプログレッション』『フォースオルタナティブ』が影響します。

DPの方向を考慮してリハビリする事が大事

DPを検出したらその方向を考慮してリハビリをマネージメントをすることが大事です。

この様に、「加えた刺激によって良い反応が得られたらその情報を活用する・得られなければ活用しない」といった思考はMDTやマリガンコンセプト等反応重視の徒手療法の特徴です。

原因となっている組織を特定することより患者さんから得られた情報を頼りに治療プランを組み立てていくという点が特徴的ですが反応を見ることにより原因を特定しやすくなりますし、そこからさらにクリニカルリーズニングを進めていけるようになります。

患者さんも変化を体感できるし疼痛を伴わず治療出来るのでとても良い治療法だと私は思います。

ちなみにマッケンジーの著書に書いてある記事なのですが

クリニックに来院した腰痛患者(312名)をマッケンジー法の診断で検査を行いました。

そのうち、DPを検出出来た患者さんは230名(74パーセント)でした。

その230名を3つのグループに分けました。

Aグループは、DP方向へのexと姿勢を実行してもらいました。

Bグループは、DPとは逆のexと姿勢を指導しました。

Cグループは、DPとは無関係のエクササイズを行ってもらいました。

二週間後の結果は、Aグループが、ほかの二グループを圧倒していました。

二週間前よりも改善している割合が、Aグループが95%、Bグループが23%、Cグループが42%でした。

しかも、Aグループでは、処方されたプログラムを行って悪化した人は一人もいませんでした

一方の二グループは、悪化した人がそれぞれ20%ほどいました。

DPの方向にしっかりとエクササイズと姿勢指導を行うことが非常に重要であることが証明されました。

みなさんも柔道整復術にDPを意識し検出したらリハビリやセルフエクササイズ・日常生活指導にも絡めてみてくださいね!

おわりに

実際にDPを検出するにはゆがみを考慮したりハンドリング等、技術的な要素を身に付けなければいけませんが、その辺は実技編で話していきたいと思います。

DPに従って治療プランを組むと、そうしなかった場合に比べて、痛みと機能の改善が劇的に優れています。

よく見かけるのはこの人はこういう姿勢だから!と痛みが増強するのに姿勢分析にのみ合わせた治療プランを無理矢理組んでしまっている柔道整復師の先生です。

是非ともDPという考えを取り入れてみてくださいね(^^)

最後までお読み頂きありがとうございました。

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