柔道整復術から見る坐骨神経痛

整骨院でお尻から足にかけて痛みが出たり痺れたり、痛くて座っていられない症状や力が入りにくい等と悩んでる患者さんを見ることはありませんか??

坐骨神経痛は坐骨神経の圧迫によって起こるとされますが、原因不明の場合も多いです。
クリニック等で痛み止めや湿布薬での対症療法だけ受けている患者さんも多いですが、亜急性の負荷が繰り返し加わっていたり、バランスを崩した事により患部にストレスが加わっているものも多く、柔道整復術で改善できる症状もよく見かけます。
今日は、坐骨神経痛による症状と原因、アプローチするポイントについて書いてみます。
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坐骨神経痛とは?

まず坐骨神経痛とはどのような状態なのかおさらいしてみましょう!

坐骨神経痛とは、坐骨神経の走行にそって現れる神経痛で、疼痛や痺れを訴えます。

坐骨神経に関与する腰椎下部の椎間板ヘルニアや腫瘍による神経の圧迫などもあり得ます。L4〜S1の障害が好発部位です。

病院で、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症を疑って検査しても画像上は原因がはっきりしない事も多く、原因がはっきりしない臀部から足に出る症状を坐骨神経痛と診断する事もあります。

せっかく手術によってヘルニアによる神経圧迫を切除したのに改善しないことも多いです。

※現在はヘルニアによる坐骨神経痛はオペよりもリハビリによる物の方が予後が良いというデータがあります。

オペにより変わらないということは、対象とした疾患が本当の原因ではなく、坐骨神経の走行している部位のどこかに他の要因によって神経が阻害されていると疑えます。

筋肉の柔軟性・筋緊張による圧迫や筋膜の癒着、腰椎や他の関節のアライメント不良、姿勢の悪さがそれらを助長させていたりして、坐骨神経を刺激し坐骨神経痛のような症状が出ている事もとても多いです。

ヘルニアなどが直接神経を圧迫している症状なのか、腰椎のズレなのか、それより末梢で筋肉や神経など軟部組織にストレスがかかっている事による症状なのか、はたまた両者によるダブルクラッシュなのかをクリニカルリーズニングをたてるのです。

どれにしても柔道整復師によって緩和できる可能性は多いにあります

※勿論坐骨神経痛やヘルニアで保険を使うことはできません。

原因を探れば腰椎が重たいものを持ったときに捻挫が起き、位置の異常が起きたり、筋肉が負荷により繊維損傷を起こし結果的に癒着を起こしているのも多く、メカニカルストレスが直接坐骨神経に加わったものもあり、原因に対して保険適応になる物もあります。

坐骨神経痛による症状

よくある症状に、以下のような物がおります。

片側の腰~臀部~下肢(大腿、下腿、足部)に痛みや痺れが出る、その際は点というよりも線で出る

座っていると痛みが出る

臀部から足にかけて力が入りにくい感じがする

歩行中に上記部位が痛む

前屈みで症状が出る

痛み、異常感覚、筋力低下が起きている部位と画像上のヘルニアの部位が合っていない時は末梢の軟部組織が原因の場合が多いです。

坐骨神経の走行ライン

坐骨神経は、脛骨神経と総腓骨神経が一つにまとまっている物です。

まず近位は、L4〜S3から出ている神経が合わさって坐骨神経となり、梨状筋下孔(梨状筋が大坐骨孔を上下二つに分けて出来る下の部分)を通り、下降します。

そして坐骨神経は、膝窩上部で脛骨神経部と総腓骨神経の2つに別れます。

(約20%は高位分岐型といい骨盤腔内で既に別れているようです。)

脛骨神経の走行は、そのまま下腿後面〜足底に、

総腓骨神経は、さらに浅腓骨神経と深腓骨神経に分かれ、下腿前面〜足背に走行します。

坐骨神経は大腿後面の筋、下腿と足部の筋肉、および下腿と足部の皮膚に分布しています。

(疑)坐骨神経痛の症状を呈す、他の疾患。

梨状筋症候群

梨状筋下孔と呼ばれる部位を坐骨神経が通過するので、梨状筋の柔軟性低下や下肢を内↔️外旋させる動作が多い姿勢やスポーツなどにより坐骨神経が圧迫されると坐骨神経痛を生じます。

運動不足で固くなることもあれば、

仙腸関節、股関節の可動性低下や、大臀筋、中臀筋、小臀筋などとの癒着も、梨状筋を固くしてしまいます。

腰椎・仙腸関節障害

坐骨神経は、腰椎と仙骨から神経分布していきます。

腰椎から出た神経は、仙骨の前方から仙腸関節をまたいで梨状筋下孔を通過して大腿後面に出ます。

捻挫による変位が腰椎の回旋や後屈や前方滑りを作ると椎間孔を狭めてしまい、神経を圧迫することがあります。

整形外科的には腰椎症性の末梢神経性疼痛と診断されるかもしれません。

他にも仙骨が過前傾(ニューテーション)すると、坐骨神経は仙骨の前方を走行しているため、仙骨に押され圧迫されたり、SIJの関節包が刺激を受けると放散痛や筋肉の異常緊張を起こすことも知られています。

仙骨と腰椎の位置関係も確認し、坐骨神経の影響も視野に入れることが必要です。

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板の中心にある髄核が繊維輪を飛び出し、後方にある神経根に当たり神経痛が起こります。

腰椎を後湾させたまま重いものを持ったときのぎっくり腰でもなります。

椎間板の逸脱を整復し痛みが緩和していくか経過を見ますが、予後が悪いものは画像検査で確定診断を受けておくと良いとおもいます。

坐骨神経痛へのアプローチポイント

坐骨神経痛がある方にアプローチする際は坐骨神経の走行している部分を見ていきます。

重度の神経障害に対しては早急にオペが必要なものもあるので、医師に対診する事も考えましょう。

腰椎の位置異常・可動性

ヘルニアみたいな明らかな問題がなくても、数ミリのズレで神経障害が起こることがあります。

ズレが直接神経を圧迫しなくても、筋肉へ送られる命令が上手くいかず筋肉の働きがわずかに低下し、運動パターンが変化し、間接的に坐骨神経に負担がかかり痛みとして出現することも考えられます。

なので、明らかな問題がなくても必ずアプローチしておくポイントです。

腰椎に影響をもたらしやすい筋群を挙げてみます。

・脊柱起立筋

・広背筋

・多裂筋

・大腰筋、腸骨筋

・横隔膜

・腰方形筋

仙腸関節の位置異常・可動性

上記したように、SIJが直接前方を走行する坐骨神経にストレスをかけてる可能性もあります。

他にも仙腸関節がズレたまま固まったり、可動性が悪い・緩みにより可動しすぎる事により必要以上に周囲の筋肉が働いてしまい過剰な負担がかかったり、運動パターンがおかしくなることで坐骨神経にストレスがかかる事が考えられます。

以下に原因となりうる筋群を挙げておきます。

・大、中、小臀筋

・梨状筋

・腸骨筋、大腰筋

・腰方形筋

・腹直筋

・腹斜筋

・内転筋群

・ハムストリング

他にもありますがよくリリースするポイントです。

股関節の位置異常・可動性

股関節後面の筋群は坐骨神経痛が出るポイントですし、梨状筋など坐骨神経に直接触れる筋肉があるので股関節の可動性はかなり関係します。

股関節の可動性が悪くなると、股関節周辺の筋群の柔軟性低下や筋同士の癒着により滑走性低下し神経組織の滑りも悪くなることが考えられます。

回旋制限の有無をちゃんと評価しましょう。

また股関節が動きにくくなると連動する骨盤や腰椎のモビリティが上がってしまい、そちらからの負担もかかりやすくなってしまいます。

筋肉、筋膜の柔軟性・滑走性

坐骨神経の走行に沿った筋肉の柔軟性低下や筋膜同士の滑走性の低下があると直接神経を圧迫することもあるし、二次的に動きが悪くなり持続的にストレスが加わり痛みが出現することも考えられます。

筋肉は同士は重なるように位置していて関節運動の際に、筋肉が収縮や弛緩をしますが、重なり合ってる部分は互いが滑り合い動きを邪魔しないようにしています。

そういった部位に炎症や運動不足により癒着が起きると、滑りが悪くなり、筋肉同士が余計に筋収縮したり、癒着側に引っ張られて筋肉の位置が変わってしまい運動パターンに異常をきたしたり負担がかからないはずの組織に負担がかかります。

筋膜同士だけではなく神経膜や他組織とも滑りあう必要があるので滑走性が悪くなると神経に負担がかかりやすくなることもあると思います。

梨状筋と中、小臀筋間
大臀筋とハムストリングス間
ハムストリング同士の癒着
大腿二頭筋と腓腹筋外側頭の間
腓腹筋とヒラメ筋と後脛骨筋や長母趾屈筋、長趾屈筋の間
腓骨筋と長趾伸筋と前脛骨筋の間
等が坐骨神経痛で挙がりやすい癒着ポイントです。

また筋膜はアナトミートレインという解剖学的連結があります。

筋連結上にトラブルや癒着があると離れた部位が引っ張られて坐骨神経様の痛みが出る事もありますのでおさらいしておきましょう。

今回はアナトミートレインのラテラルライン(LL)について紹介していきます。 LLは体の外側を足から頭まで走っているラインです。 LL...

このラインが坐骨神経痛に関わってきます。

姿勢の悪さからくる負担

上記した部位に問題があるものがほとんどですが、そもそも患部に負担がかかりやすくなる原因が離れた部位の姿勢や間違った運動による物も多いです。

アプローチしても戻ってしまう物や視診で確認が出来るものは離れた部位も着目してみましょう。

例えば胸椎の後湾や頭部前方転位が腰椎にストレスをかけていたり足底アーチの乱れから歩行パターンに異常をきたしていたり。

正しいフォームでADLを過ごすと負荷はかなり減らせます。

最後に

坐骨神経痛は痛み止めでごまかすのではなく、しっかり評価し原因を特定していきましょう!

画像上問題があるものと軟部組織、関節性の物も見極めて、坐骨神経の走行を考えながら、そこに存在する筋肉や関節の影響を考慮してみましょう。

また医師に見てもらわないと柔整師の範疇でないものも多いので対診出来る環境も大切です。

今回の記事もぜひ参考にしてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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