アナトミートレインの『スパイラルライン』

スパイラルライン(SPL)について紹介していきます。

SPLは全身をクルクルと回り込むようにして走行しています。

少し難しいですが、改めて各筋肉の起始・停止を再確認しながら覚えていきましょう。

SPLの連結

頭板状筋/頸板状筋

逆側の大菱形筋/小菱形筋

前鋸筋

外腹斜筋

逆側の内腹斜筋

大腿筋膜張筋/腸脛靭帯

前脛骨筋

長腓骨筋

大腿二頭筋

仙結節靭帯

脊柱起立筋

引用

このように左右をいったりきたりしつつ、スタートの頭部まで戻ってきます。
長くて、複雑な動きをしていますのでわかりにくいかもしれませんが、同僚の体を借りたりして筋肉を確認しながらしっかり覚えましょう。

SPLの特徴

①.体を二重螺旋状に走行している

②.スタートとゴールが同じ

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螺旋状に走行している

螺旋状というのは、頭板状筋/頸板状筋から反対の大菱形筋/小菱形筋、外腹斜筋から反対の内腹斜筋、前脛骨筋から長腓骨筋へと連結する部分のことで、SPLの中でも大事な部分となります。

姿勢機能としては、体を螺旋状に走行しているため体のゆがみ予防やバランスの維持に関与しています。

運動機能としては、回旋運動に関与していて、制御機能としては遠心性収縮・等尺性収縮により体幹・下肢を固定し、回旋によってバランスを崩す事を防いでくれます。

SPLと捻れの歪み

SPLは脊柱起立筋にも連結しているので正しく機能する前提条件として、深層の脊柱深部筋がちゃんと機能していることが条件となります。
つまり、脊柱深層筋(ディープフロントライン)や起立筋(スーパーフィシャルバックライン)が機能不全を起こした結果として、SPLが捻れたり、過緊張などを起こしたりするということです。

姿勢分析としては、

・胸郭と相対的な頭部の変位・傾き
・片方の肩が前方突出
・骨盤と相対的な胸郭の変位
・胸骨と恥骨の方向の違い

などを視診してみてください。

SPLと頭部前方転位

SPLは左右の菱形筋を走行してたすき掛けのように背中を張らせてくれる作用があります。

デスクワークや、パソコンに向かう時間が多くて背中が丸まって頭部が前方に転位している方を多くよく見ることがありますが、この姿勢は、SPLで考えると肩甲骨が外転位になり、菱形筋が伸張されて、前鋸筋が短縮固定されてしまいます。

お腹を丸めた姿勢も腹斜筋が短縮し菱形筋が伸長固定しやすいです。

この状態だと胸郭にも制限が起き、体幹の回旋運動や、呼吸機能の低下も考えられます。

足底アーチと骨盤傾斜

前脛骨筋と長腓骨筋は第一中足骨・内側楔状骨を介して連結しており、スリングを形成していますので、下肢の前後の緊張度合いで骨盤と足部が歪んでしまい悪い癖がつき代償パターンを作り出します。

大腿二頭筋~長腓骨筋のラインが短縮固定:骨盤後傾、足部外反
大腿筋膜張筋/腸脛靭帯~前脛骨筋のラインが短縮固定:骨盤前傾、足部内反

また足部は内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチから構成されています。

本来、内側縦アーチは荷重負荷を吸収し、外側縦アーチはバランスをとるために機能します。
ですがSPLの下部が緊張して歩行バランスが乱れ、外側縦アーチで、体重を支えているケースが多く認められます。

SPLは足部と骨盤が連動していることを上述しましたが、このように外側荷重のパターンでいると足部から仙腸関節に影響を及ぼし、仙腸関節痛や腰痛などを引き起こす原因ともなります。

SPLと歩行時の膝の屈伸

下肢前外方の大腿筋膜張筋/腸脛靭帯から前脛骨筋に走行するラインが短縮固定してしまうと、膝のトラッキング機能(歩行時に膝がまっすぐ屈伸する能力)に影響が出てKnee Inしやすくなります。

スタートとゴールが同じ

頭板状筋/頸板状筋からスタートして脊柱起立筋を通り元の位置に戻ってきます。
アナトミートレインの中で最も長いです。
ですので、体の前面・後面においてもとても広範囲に走行しており、それだけ体に与える影響も大きいと言えます。

さらに、別のラインとの接続も多いので、別のラインへの影響を与えやすく、別のラインからの影響を受けやすいです。なのでSPLを評価する際はラインの走行も大事ですが、色々な影響を考えた上で評価する必要があります。

SPLをリリースするストレッチ

①.立位で片足を一歩後ろに引き、引いた足と同じ側の手を床方向に向かって軽く伸ばします。

②.反対側の手を斜め上後方へ挙上し目線は挙上した指先に向けます。

③.体幹を挙上した手の側へ回旋します。

④.10秒程度保持したら2回繰り返しましょう。反対側も同様に行います。

ポイントとしては、

・引いた足の大腿から腹部を通って挙上側の手までのライン、引いた足側の腰部から背中にかけてのラインが伸びるイメージを持つ

・両足とも踵やつま先が浮かないように

・前方に置いてある足の膝は伸びきらないように

・腰を反らないように

上記のポイントを踏まえて指導してみてください。

おすすめの本

最後に

少し複雑ですが、大切なポイントです。
姿勢アライメントをチェックしてみて、SPL上にトラブルがあるかもしれないと仮説がたった場合は、動作もチェックして、実際にSPLへアプローチしてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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