アナトミートレインの『ディープフロントアームライン』

今回はディープフロントアームライン(DFAL)について紹介します。

いよいよアナトミートレイン主要ラインは終了です。

これらの主要ラインを頭に入れて置くと筋膜リリース、歪み矯正、エクササイズの幅が広がり今までの治療法も応用ができると思います。

アナトミートレインは治療法というよりも解剖学に乗っ取った1つの理論なのでそこから治療に組み込んでいくことが大切です。

では、進めていきますね。DFALは腕の前面の深層を走るラインです。

DFALの連結

小胸筋

上腕二頭筋

橈骨骨膜

母子球筋

舟状骨/大菱形骨/母指外側

胸部前面から始まり、母指球まで腕の深層を走っています。

引用

DFALの特徴

①.胸部〜指前面の安定性を保っている

②.母指球への連結からくる影響

スポンサーリンク
スポンサーリンク

胸部〜指前面の安定性を保っている

名前の通り深い所を走っているため、そのラインを安定させる働きがあります。

DFALが機能してないと、浅層のスーパーフィシャルフロントアームライン(SFAL)が過剰活動しますので、SFALの筋群はオーバーユースになりやすいです。

DFALによる安定性があって、SFALがスムーズに動きを作り出すのでDFALが機能していないと、SFALが安定性と運動の両方を頑張ってしまいます。

そうなると、関節の転がり運動が起きにくくなり、ぎこちない動きになってしまいます。

手指の外傷後リハビリなどもこういったところに目をやるとより良い効果を出せます。

また、DFALの中でも小胸筋などは巻き方のような姿勢で固くなっている事が非常に多く認められます。

小胸筋が硬くなっているということは、上肢全体が前方へ変位し、前面のアームラインを優位に働かせ、後面のアームラインが機能しにくくなります。
肩関節に関しては後面のアームラインの働きが大事になります。

整骨院の現場では、前面と後面の関係性、深層と浅層のラインのバランスを評価することが治療の引き出しを増やすことになると思います。

母指球への連結からくる影響

現代人はスマホやパソコンの普及により、母指を使用する頻度が非常に増えています。

以前も書いたことがありますが、これによって後面のラインよりも、DFALやSFALが優位に機能して、巻き肩になり僧帽筋や三角筋が伸長固定し、胸椎のkyphosisが強くなり可動域が狭くなる、その影響から例えば骨盤は後傾位となり代償して膝関節が屈曲しやすくなる等の事も考えられます。

後面のDBAL、SBALが機能不全に陥ると、肩甲骨の動きが悪くなりアウターマッスル優位に上肢運動を行うため、インピンジメントや腱板断裂になり得ます。

胸部前面が短縮固定するため、胸椎は後弯が強くなり、結果的に頚椎、腰椎で動きを代償するため、頚部や腰部を損傷しやすくなります。

また前面のアームラインを通じてスーパフィシャルフロントライン(SFL)に緊張が連鎖して、腹直筋や大腿四頭筋が緊張して、全身的なA-Pバランスに影響することも多々あります。。
大腿四頭筋が優位に活動すると、股関節のインナーマッスルが働きにくくなり、膝関節にストレスがかかり、膝OAや半月板損傷にもつながります。

DFAL、SFALを使いバランスを崩すととデメリットが多く挙げられます。
もちろん前面が機能することも大事ですがDFAL、SFALばかり優位に使っているとこういった弊害が起こりうるので、偏りすぎずにバランスよく機能させる事が必要になります。

整骨院の現場でも、まずはどういった運動パターンが優位か、どういったパターンの姿勢になっているか、どのくらいの可動性があるのか分析することが非常に大事です。

DFALをリリースするストレッチ

①.伸ばしたい側の肩関節を140°屈曲位で親指を立てた状態で壁に指から上肢前面がつくようにする

②.壁につけた腕と反対側に体幹回旋する

③.10秒ほど保持して2回繰り返す

ポイントは

・母指が優位に伸張するように軽く立てておく
・肩関節が上がらない人は無理の無い角度で行う

・痛みが伴うようでしたら行わないでください。

おすすめの本

最後に

人はどうしても前方向に上肢を使う事が多いのでDFALやSFALを使用する頻度が高いです。

DBALやSBALとのバランスが崩れやすいので両者ともに機能を調整してバランスを整えることが大切です。

上記したように指から全身にも影響がでることも視野にいれて評価することが大切です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

シェアする

フォローする