もくじ
Ottawa Ankle Rules|オタワアンクルルールについて

足関節の捻挫は、スポーツ現場で最も多く起こるケガと言われています。
足関節を捻ると、痛みと腫れ、酷いと歩行不能となります。
整形外科(Orthopedic surgery)に行くと必ずxp(レントゲン)をとります。
骨折をしてないかを確認するためです。
「骨折」と「捻挫」では、処置が変わってきますからね。
統計によると、「足関節の捻挫で病院に行き、xpを撮った人の約15%の人にのみ骨折が見つかった」というデータがあります。
言い方を変えると85%の人はxpの必要はなかったということです。
もちろん、医療は、たらればの話は良くないので、xpを撮って骨折していないということがはっきり分かれば患者さんもセラピストも安心して治療を始めることができるので、xp撮影はとても大事です。
しかし、整骨院にxpはありません。紹介しても連携のとれるorthでなければ患者を戻してくれなかったり保険が通らなくなったりと、厄介なことが多々あります。
整骨院は勿論、時にはDrがxp不要な患者さんを事前の段階で省けていたら余計な手間や無駄な医療費や放射線被曝を削減できます。
Ottawa Ankle Rulesはもともと、レントゲンを撮る必要性を減らして、医療費を削減することを目的に作られた評価法です。
Ottawa Ankle Rule(オタワアンクルルール)の内容
それでは、Ottawa Ankle Rulesとは具体的にどのような評価法なのかを説明します。
引用
この5つのポイントを評価し、どれか1つでも陽性だったらxpをとるべきであると考えます。
①腓骨下端の後方6センチ (A) の圧痛
②脛骨下端の後方6センチ (B) の圧痛
③第5中足骨基部 (C) の圧痛
④舟状骨 (D) の圧痛
⑤ケガをした直後に患肢に荷重不能・歩行不能
この5つのポイントが全て陰性(圧痛がない、荷重できる)であれば、骨折をしている可能性は極めて低いということになります。
また、私は内出血著明など必要そうならば踵骨・距骨骨折を考慮して、上記に加えて足底からの軸圧と踵骨の限局性圧痛も確認するようにしています。
このOttawa Ankle Rulesのすごいところは、その正確性です。
統計で患者さん15,581人の足関節損傷にこのOttawa Ankle Rulesを使って評価をし、陰性だったのに骨折をしていた患者さんはわずか47人 (0.3%) でした。
オタワアンクルルール陰性ならばまず骨折はしていないと考えて大丈夫です。
感度(Sensitivity)と 特異度(Specificity)
感度(Sensitivity)と特異(Specificity)という言葉を知っていますか?
これは評価法やテストの統計的な正確性を表す指数です。
感度とは
感度とは、テスト法により、その疾患を見逃さない確率です。
感度が高いテストが陰性ならば、除外しても安心ということです。
特異度とは
特異度とはテスト法により、その疾患を確定できる確率です。
特異度が高いテストが陽性ならば、その疾患を確定できるということです。
セラピストが使う様々なテスト法も、本当にそのテスト法は正確なのだろうか、ということが研究されていて、それぞれのテストの統計がとられ、感度や特異度が明らかになっているものもあります。
あるテスト法は感度が高かったり、またあるテスト法は特異度の方が高かったりします。
では、オタワアンクルルールはどうなのか。
- 感度=97.6%
- 特異度=31.5%
オタワアンクルルールは、かなり感度が高く特異度はそうでもないテスト法だということがわかります。
オタワアンクルルールを使って評価をした時に痛みや症状が出なかったら、骨折をしている可能性がかなり低いので除外しても安心です。。
特異度は30%とあまり高くないのでオタワアンクルルールをやって痛みや症状が確認できたとしても、骨折をしていると確定はできないだろう、という事になります。
おわりに
オタワアンクルルールもうまく使いこなし、足関節捻挫に上手く対応出来るようになりましょう。
勿論折れてても対応出来るのが柔道整復師です。
あと、オタワアンクルルールが感度が高いとはいえ、腫脹がかなりあっても、陰性だから病院に紹介しなくてもいい、と考えることは危険です。
徒手検査は柔道整復師のレベルや患者さんの体質によっても正確さが左右されます。
そのため、オタワアンクルルールだけに頼らず、問診・視診・触診・スペシャルテスト・圧痛・可動域などの評価法の1つとして使い、様々な評価をしたうえで、治療プランを考えていくべきです。
少しでも骨折してるかなと思ったら、しっかりドクターに診てもらいましょう。
今後も足関節捻挫についての記事をのせて行きたいと思います。
最後までありがとうございました。