肩関節各ポジションごとの可動域制限因子と筋力評価

柔道整復術を行う上で、『一つの病態を別の角度から考える』というのは、とても大切なことです。

肩関節もただ固いとかずれていると考えるのではなく、細かく検査をしてどこに原因があるのか、どっちにずれているのかを知り施術法を組み立てることが大事です。

肩関節は1st(ファースト),2nd(セカンド),3rd(サード)のポジション別における制限因子や筋力評価について説明していきます。

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肩関節のポジションとは?

1st,2nd,3rdの3つのポジション、肩関節の回旋運動を検査します。

1stポシション

2ndポシション

3rdポシション

肩関節は、球関節であり3軸性の可動域の広い関節です。

なので水平面・前額面・矢状面それぞれでの動きを利用し、軟部組織の状態やアライメントを別の角度から評価するということです。

それでは、各ポジションの特徴を書いていきますね(^^)

1stポジションの特徴

1stポジションとは、上腕は下垂位で、そこから外旋・内旋運動をしていきます。

1stポジションでの外旋

他動時における制限因子

肩甲下筋上部線維、棘上筋前部線維、三角筋前部線維、大胸筋、烏口上腕靭帯、上関節上腕靭帯、前上方関節包、肩甲上腕関節の下後面におけるインピンジメント

抵抗に対する動作筋

棘下筋上部、小円筋、三角筋後部繊維

1stポジションでの内旋

他動時における制限因子

棘上筋後部線維、棘下筋上部線維、後上方関節包、肩甲上腕関節の下前面におけるインピンジメント

抵抗に対する動作筋

肩甲下筋、大円筋、三角筋前部繊維、大胸筋、広背筋

2ndポジションとは、肩関節外転90°の肢位から外旋・内旋運動をしていきます。

2ndポジションでの外旋

他動時における制限因子

肩甲下筋下部線維、大円筋、大胸筋、広背筋、前下関節上腕靭帯、前下方関節包、肩甲上腕関節の上後面におけるインピンジメント

抵抗に対する動作筋

主に棘下筋下部、小円筋

2ndポジションでの内旋

他動時における制限因子

棘下筋下部線維、小円筋、後下関節上腕靭帯、後下方関節包、肩甲上腕関節の上前面におけるインピンジメント、肩峰と大結節におけるインピンジメント

抵抗に対する動作筋

大胸筋、肩甲下筋下部、大円筋、広背筋

3rdポジションの特徴

3rdポジションは、肩関節屈曲90°の肢位から外旋・内旋運動をしていきます。

3rdポジションでの外旋

他動時における制限因子

大円筋、肩甲下筋下部、大胸筋、広背筋、前下関節上腕靭帯、前下関節包、肩甲上腕関節の前下面におけるインピンジメント

抵抗に対する動作筋

主に小円筋・棘下筋

3rdポジションでの内旋

他動時における制限因子

棘下筋下部、小円筋 、後下関節上腕靭帯、後下方関節包、肩甲上腕関節の前上部におけるインピンジメント

抵抗に対する動作筋

三角筋前方線維、大胸筋、大円筋、広背筋

ポシション別の制限因子の考え方

下の図は、肩関節を上方・下方・前方・後方の4つに区画分けしたものです。

引用

1st2nd3rdポジションの違い

1stポジションは、下垂位なので、上方に区画されている組織が外旋で前上部、内旋で後上部が伸長されます。

インピンジメントは関節面の下部に起こりやすいです。

2nd/3rdポジションは、90°外転もしくは屈曲位なので、下方に区画されている組織がそれぞれ外旋で前下部、内旋で後下部が伸長されます。

2ndポジションでは、3rdポジションに対して水平伸展位にあるので、より一層肩前方組織が引き延ばされます。よって、外旋動作での前下部組織の伸長が強く、 後下部組織の伸長は弱い状態にありインピンジメントは後上部に起こりやすくなります。(大結節は突出しているので内旋時も肩峰とはインピンジメントしやすい)

逆に、3rdポジションは、2ndポジションに対して水平屈曲位にあるので、より後方組織が引き延ばされます。よって、内旋動作での後下部組織の伸長が強く、前下部組織の伸長は弱い状態にありインピンジメントは前上部に起こりやすくなります。

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おわりに

肩関節の可動域制限の原因を検出するには、ROM検査だけでは足りません。

肩関節の肢位を変えながら、どの方向がどの組織によって制限をされているか推理することで、アプローチの狙いが定まり効果も高まります。

肩関節を痛める原因に可動域制限があったり痛めた後のリハビリの際にも参考にしていただけたら嬉しいです。

最後までありがとうございました。

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