AKA博田法の仙腸関節アプローチ
AKA-博田法は
筋骨格系疼痛の大多数は関節原性で、その殆どに仙腸関節の機能障害(機能異常および無菌性関節炎とそれによる機能障害)が関係している、という考えがあります。
どこが痛くても関節機能異常由来ならば、まずは仙腸関節からアプローチするという事です。
私もAKA博田法の考えを取り入れているので自費で矯正をする人は腰の症状でなくても仙腸関節はほとんどの人にたいし、アプローチします。
このことから、仙腸関節副運動技術はAKA博田法の中心となる治療法です。
ただし、実際は仙腸関節は癒合して存在してない人もいるので全てが仙腸関節という考えを持つと怖いと私は思っています。
しかしAKAは統計的に仙腸関節が影響すると考えているので仙腸関節周囲の軟部組織が全身に影響しているという事も考慮しておくと良いでしょう。
仙腸関節副運動技術
仙腸関節副運動技術は
腸骨にたいして仙骨の「前上方滑り」「後下方滑り」
仙骨にたいして腸骨の「上部離解」「下部離開」「後上部離開」「後下部離開」の6つがあります。
2007年には「上方滑り」「下方滑り」「上部離開」「下部離開」の4つへと変更され、全てのアプローチが腹側からの、施術が可能となりました。
私はAKAではなくなりますが、逆に上記の6つに「前上部離開」「前下部離開」「上部圧着」「下部圧着」「仙・腸骨前傾」「仙・腸骨後傾」の、6こを足し細かくし、それらを組み合わせて、回旋も考慮し複合的に仙腸関節にアプローチしています。
ドイツ手技の利点
AKAもとても良いアプローチ方法ですが、私が行っているドイツ手技の柔軟性のある考え方も知っておくと、視野が広がるので合わせて掲載してみます。違いを知っておき、それぞれの利点をTPOに合わせて使い分けるのもおすすめです。
①関節機能異常も考えてアプローチする。
動きの悪い関節を特定でき、関節機能異常から影響している痛みならば動きを良くするをしていきます。
筋肉の機能も考えたテクニックも処方するし、筋緊張が強い時は軟部組織に対するアプローチも行います。
逆に関節のインスタビリティー(不安定で動きすぎること)が原因の痛みならば、関節を安定させるアプローチ、エクササイズにより周囲の筋出力を上げるアプローチ、その他の動きの悪い関節を見つけて動きを良くすることで、不安定な関節にかかるストレスを軽減させるといったアプローチをしていきます。
脊椎のリハビリにはピラティス等、脊椎全体が協調し滑らかに動くような運動療法も処方していきます。
②仙腸関節等、決まった関節を考えない
ドイツ手技も関連痛を視野にいれ痛みとは別の部位にアプローチをします。
しかしAKAのように特定の関節を痛みの原因とは考えません。
関節機能異常(joint dysfunction)が起きやすい部位はありますが、特定せずに原因を探します。
AKAのように仙腸関節に原因があると考える必要もあれば痛みの出ている分節の関節や、その他の関節に原因があると考える必要 もあると私は思っています。
AKAを行う際のポイント
AKA博田法が治療の時のポイントにしている考え方を記載してみます。
あくまでもAKAの考え方です。
①AKA博田法は関節をきちんと動かすために施術者の姿勢や足の位置、体重移動などを大事にしています。
どの治療でも言えますが施術者が緊張せずにしっかりと力を加えられて、疲れにくいポジション取りは大切です。
私が指導してきた人でも治療がうまくない人はまず姿勢やフォームが悪い人が多いです。
ただし、この姿勢が必ず正解と決めつけない方が良いと個人的には思います。
②仙腸関節へのアプローチは滑りは「弱」のみを使います。
離開は「強」を使うこともあり、急性腰痛の場合、患側の離開は必ず「強」を使います。「強」の後は必ず「弱」をしてから終わります。
慢性腰痛のも8割は急性腰痛と同様「強」を使い、頚部や上肢に痛みがっても患側仙腸関節に「強」を使います。
③滑りの前後に離開をすることが多いです。
④関節機能異常からの痛みならば肩が痛くても膝が痛くても仙腸関節からアプローチしていくます。
改善しきらなければ、その他脊柱部位や四肢の副運動技術て他部位へもアプローチしていきます。
疼痛部位や疾患別にアプローチしていく順番もありますが、根本的な原因は仙腸関節の機能異常なため技術が向上すれば他関節へのアプローチをしなくて良いと考えています。
⑤ 仙腸関節以外の関節へアプローチをするのは、仙腸関節の機能改善が不十分なため、他の部位の機能異常が残ってしまうので、とりあえず仙腸関節由来からくる他部位の機能異常もアプローチして、機能改善させようという考え方で、仙腸関節の機能異常が残っていると他の部位を治しても再発するとしています。
⑥距骨下関節の一部機能異常等や足関節捻挫の一部は仙腸関節を治療しないで単独でも改善できるとしている。
仙腸関節の他にもC7-Th1facetや第1肋椎関節を重要な関節としている
⑦肩関節周囲炎はAKAによって改善し安静時痛が無くなったら、後の治療は必要ないとしている。
⑧足関節捻挫は距骨下関節(稀に踵立方関節)のAKAで疼痛が減少する。受傷直後で靭帯が損傷していて内出血があっても改善するとしていて、私も整復動作と一緒にAKAは処方するようにしています。
⑨OAなど器質的変化のある疾患ははAKAで効果はでるが、再発しやすい。
⑩強や中で関節の動きを出したあとは弱で関節の中間位に整うように修正して終了するのがセオリー。
オステオパシーでも「関節の遊びの中の中間的な位置に修正することで身体のバランスを保つ」といった理論にも似ていますね。
⑪強い疼痛により動かせない状態の時は弱の刺激で関節を僅かにだけ動かす。
急性は刺激過ぎるのはよくないですが、関節包内の代謝改善であったりゲートコントロール理論的にも良いと思います。ドイツ手技でもこういった手技は行います。
おすすめの本
おわりに
AKAは私も当時ビックリするような効果が出る治療法でした。
強い痛みがあるのに来院してくれたのに電気だけ当てて安静で様子を見るならば整骨院に行く意味はありません。
やはり、関節をしっかりと整復し、固定により安静を保てるようにし、注意事項を伝えられる柔道整復師になりましょう!
AKAは捻挫から慢性疾患まで応用がきくので是非学んでみてください。
ただ、他の治療も学び視野を広くしないと考えが偏ってしまう怖さも感じる理論もある気がします。
枝分かれしたSJFもAKAとは違う理論を確立させています。
最後までお読み頂きありがとうございました。