手関節の構造を復習する

今回は手関節と手指の関節の構造を復習していきます。

手関節

橈骨手根関節と手根間関節と遠位橈尺関節と尺骨の総称で、基本的に2軸性(掌屈、背屈、橈屈、尺屈)の関節で遠位橈尺関節により前腕が回内・外します。

臨床的にはTFCCもしっかり抑えましょう。

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①橈骨手根関節

橈骨と舟状骨・月状骨・三角骨で構成される楕円関節です。関節包は薄く、背側および掌側橈骨手根靭帯で補強されています。

遠位橈骨関節面の特徴的な構造として、橈骨関節面は尺骨側に約25°傾斜しています。
さらに、手掌方向に約10°傾斜しています。

このことから、橈屈より尺屈方向に、背屈より掌屈方向に大きな可動域を有しているということになります。

橈屈では、舟状骨が橈骨茎状突起とインピンジメントを起こすため、橈屈における橈骨手根関節の可動性は大きく制限されて橈屈のほとんどは手根中央関節において発生します。一方、尺屈では橈骨手根関節と手根中央関節がほぼ同程度の可動性を持ちます。

橈屈では橈骨に対して近位列の手根骨は橈側に転がり尺側に滑り運動が起こり、尺屈ではその逆の運動が起こります(回転軸は有頭骨にあります)

引用

②手根間関節

手根骨は8個の骨(舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨、有鈎骨、有頭骨、小菱形骨、大菱形骨)によって構成されています。また、手根骨は近位列と遠位列に分類されており、近位列には舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨、そして遠位列には大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨があります。

近位列の手根骨は周辺関節の機械的負荷による影響を受けやすく、遠位列にある手根骨は手根骨間靭帯によって固く結合しているため、可動性は非常に小さくなっています。豆状骨を除く手根骨のうち、橈側部は、舟状骨が関節頭となっており、平面関節です。尺側部は有頭骨と有鉤骨が関節頭となっており、変形した顆上関節です。この両者を合わせて手根中央関節といいます。関節包は狭く、交互に連結し、関節包は共通です。

一般的に掌屈は橈骨手根関節において生じ、背屈は手根中央関節において生じていると言われていますが、近年CTスキャン等が進化して詳細な運動解析が行われています。それによると、掌屈は主にSTT(scapho-trapezio-trapezoid)関節(舟状骨大・小菱形骨関節)、舟状骨月状骨関節、橈骨月状骨関節の間で生じます。

一方、背屈は橈骨舟状骨間関節、舟状骨月状骨間関節、月状骨有頭骨間関節、三角骨有鈎骨間関節の間で生じています。

ハンドリングを意識する際も掌屈は月状骨をメインに背屈は舟状骨をメインに動くことを覚えておくとイメージしやすいかもしれません。

なので手根骨で動きが大きいのは舟状骨月状骨間関節です。つまり舟状骨と月状骨の間には運動に伴い大きな負荷がかかる傾向があります。従って、舟状骨月状骨間靭帯は、手にある靭帯の中でも損傷の好発部位となっています。

背側舟状骨月状骨間靭帯が損傷すると舟状骨月状骨間関節には顕著な不安定性が現れます。

③遠位橈尺関節

遠位橈尺関節は、橈骨の尺骨切痕・関節円板の近位面で形成される凹面と凸状の尺骨頭で構成されています。

この関節円板はその形状から三角繊維軟骨と呼ばれ、その名の通り三角形のような形状をしています。

関節円板の両縁を掌側・背側橈尺関節包靭帯で囲まれ、この部分で尺骨頭を支え、橈骨切痕に尺骨頭を保持することができています。

回内・回外時は近位・遠位ともに橈骨が尺骨の回りを回る形で動くことは変わりませんが、遠位橈尺関節の場合、凹面である橈骨切痕が凸面の尺骨頭上を動くことになります。

回内時:橈骨が掌側方向に転がり+滑り

回外時:橈骨が背側方向に転がり+滑り

凹凸の法則から、このように転がりと滑りが同方向に起こることとなりますね。

また、橈骨と手根骨が橈骨手根関節を構成しているので、回内外に伴って橈骨に動きと一緒に手根骨も動くことになります。
つまり、手関節(橈骨手根関節)の可動域を改善しようと思うと、橈尺関節の制限も考えることも、必要になることがあります。

④TFCC

解剖学的な関節ではありませんが、機能的にはとても大切なところで、また整骨院の臨床現場でも度々ここの損傷を見ることがあります。

三角繊維軟骨複合体とは

そのTFCCを構成するものには、

①尺骨三角骨靭帯
②尺骨月状骨靭帯
③掌側橈尺靭帯
④背側橈尺靭帯
⑤関節円板

⑥尺側側副靱帯

⑦三角靱帯
の7つがありそれぞれが骨同士ををつなぎ止め手首の安定性を保っていたり、ベアリングの役割をして滑らかに関節を動かしたり衝撃を吸収する役目があります。

それがゆえに負担がかかりやすく、骨ではないため強度もないので膝でいう、半月板のように損傷を起こしやすいです。

詳細は後々記事にしたいと思います。

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最後に

手関節は他の疾患よりは数は少ないですが、整骨院では必ず診ることのある、部位です。

また重度の捻挫や骨折も診ることがありますよね。

固定法やリハビリのポイントや関節矯正も記事にしていきます。

機能障害が起こると手をついたり、手首を使うことは日常でも多いので、支障が起きやすい部位です。

治療の話を伝える前にしっかりと構造を理解しないと話についていけませんので、しっかりと覚えておきましょう。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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