アナトミートレインの『スーパーフィシャルフロントアームライン』

今回は腕の前面の浅層を走るスーパーフィシャルフロントアームライン(SFAL)をご紹介します。

腕には4つのラインが走っていますがそのうちの1つです。

SFALの連結

大胸筋/広背筋

上腕骨内側線/内側筋間中隔

上腕骨内側上顆

手指屈筋群/手根管

指の手掌面

胸部前面から手掌面へ連結しているラインです。

引用

SFALの特徴

①.上肢の動きをコントロール

②.A-Pバランス

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上肢の動きをコントロール

SFALは、大胸筋と広背筋から始まっています。

大胸筋と広背筋はともに肩関節の内旋・内転に関わり、停止部は異なりますが、上腕骨を介して繋がっています。

これらの筋肉は胸と背中の広範囲の部分に付着して、前面と側面から腕の動きを幅広くコントロールしています。
水泳のストロークや、ラケットスポーツのスマッシュ、投球動作などにおいて、肩関節の内転と伸展大きな動きを起こします。
 
またSFALは、手首や手指の屈筋群にも連結していて、ディープフロントアームラインと共に握力もコントロールしています。
このようにこの筋膜連結は、肩関節の大きな動きと指先の繊細な動きに関与しています。

またファンクショナルライン(FL)でも書きましたが、FLとアームラインは連結しています。

この連結は、前面と後面のFLによって動作時における体幹の安定化に作用し、より上肢を機能的に使えるよう働きます。

体幹だけでなく、下肢にも及んでいるため、下肢-体幹-上肢の機能的な連結によって、より力を発揮しやすくなるだけでなく、空間での上肢操作の安定にもつながります。

体幹、下肢が不安定になってる人は、代償動作が強くみられますのでFLとの連結が関係している可能性が考えられます。

A-Pバランス

何回か登場しましたが、この前後のバランスが崩れている場合が非常に多いですし、全体の評価としては考えやすいので重要なポイントです。

SFALにおいて、A-Pバランスが崩れると肩関節の挙上に大きな制限をもたらします。

SFLでお伝えしましたが、このラインは短縮しやすい傾向にあります。

SFL上に大胸筋も含まれており、腹直筋を介して大胸筋は下肢側に引かれ、その影響で大胸筋によって上腕骨は内旋・内転していわゆる巻き肩のような姿勢になってしまうパターンは多いです。

この姿勢で固定されたまま肩関節を挙上すると、最終域での体幹伸展を肩甲・上腕関節で代償してしまい、ストレスがかかりやすい環境に陥り、結果として腱板断裂や肩関節周囲炎といった症状が発生しやすいです。

大胸筋によってSFALである、広背筋は伸張された状態で固定されてしまうので、肩関節の挙上時に制限因子として働いてしまいますし、広背筋の深層に位置する前鋸筋の出力も抑制してしまいますので肩甲骨の動きも制限され余計に肩関節の障害を起こしやすくしてしまいます。。

上肢、主に肩関節にとってこのA-Pバランスは重要なポイントとなります。

SFALをストレッチする

SFALをリリースするストレッチをご紹介します。

①.伸ばしたい腕を水平伸展させて壁に胸部前面から手掌面をつきます。

②.上肢全体を壁に固定し、上体をを反対側へ回旋させ胸から上肢前面を、優しく伸ばしていきます。

③.10秒ほど保持したら終了。2回繰り返します。

ポイントとしては、

・手指は伸展位でSFAL全体が伸びるように意識します。

・体幹を回旋する際、上肢がずれないように注意します。

・伸び感は心地よい程度で強すぎたり、痛みを感じてしまう時は行わないでください。

以上のポイントを意識して行ってみてください。

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最後に

SFAL自体の特徴だけでなく、他のラインとの関係を踏まえ、治療プランを組み立てると、肩関節の痛みの原因がが体幹や下肢から生じている場合があるということや体幹、下肢の制限が上肢から生じている場合があることも理解でき、治療の幅が広くなると思います。

ここもしっかり理解すると臨床での視野が広がりますよ!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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