筋膜リリースのワンポイント!

前回話しましたが、浅筋膜は全身をボディースーツのように包んでいる膜であり、外傷や不良姿勢などによってストレスを受けた部位が癒着を起こします。

そして、筋膜自体がずれたまま固まり、正しい姿勢や動作を行おうとしても姿勢保持や動作に筋膜由来の制限が生じてしまい、正しく行うこともできなくなってしまい、その結果痛みとして現れることがあるのです。

そして筋膜は血管、神経、リンパ管も貫いていますので、筋膜がねじれると血流制限が起こり発痛物質の停滞、酸素不足、神経伝達速度の低下によるパフォーマンス低下、末梢神経由来の痺れや痛み、リンパの停滞による浮腫なども引き起こす可能性があります。

筋膜リリースによって筋膜のねじれを元に戻し、筋肉と筋膜の正しい伸張性を回復し、筋肉が本来もつ正しい動きを発揮できるように回復することで、上記のような症状を解消できる可能性があるのです。

筋膜リリースのワンポイント

因みにリリースとは、『解除する』や『解放する』という意味があります。

筋膜リリースの目的としては、筋膜の構成組織である、コラーゲン線維とエラスチン線維が密集して捻れたまま固まっている部位にを正しい方向へ解放し、運動性を回復することにあります。

ストレッチでは、筋繊維に対して平行に伸張させるようにしますが、筋膜リリースは一方向ではなく、様々な方向へ解きほぐします。
筋膜のねじれは一方向にねじれているだけの単純なものではないので、ねじれの方向をしっかりと評価する必要があります。

対象となる筋膜を丁寧に触診していき、硬く柔軟性がない部分に対して、どの方向に動きにくいか3次元的に判断します。皮膚をつまんで牽引することもあります。

動きにくい方向に対して筋膜を伸張していき、最初の10秒ほどはエラスチン線維が伸張され、一旦伸張感が止まります。
そこからさらにリリースを続けると今度はコラーゲン線維がリリースされ始めます。現場ではそこまで時間はかけられないですがここだな!というポイントには15~20秒ほどリリースすると良いでしょう。制限されていた筋膜が解放され、柔軟性が取り戻されます。

注意点として、しっかりと狙った組織に対してリリースできているかということです。
深筋膜を狙ったのに圧が弱すぎて皮膚や浅筋膜までにしか圧が届いていない、逆に圧が強すぎて深筋膜を通り越して筋繊維自体に圧をかけ損傷させてしまう場合があります。

自分の腕や足で練習してみてください。

指で軽く触れて上下左右に動かすと、皮膚や浅筋膜では大きく皮膚が動くのがわかります。
そこから少しだけ圧を強めると皮膚はわずかにしか動きません。
その深さに圧をかけることで治療効果が最大限に発揮されます。

よくある失敗例

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①勢いが強い。

滑らせようとして早すぎる筋膜リリースをしてしまうセラピストが多いです。ゆっくり行ったり伸長位置で留めたり丁寧に行いましょう。

②力んでしまう。

手先に力みが入ると適切な圧をかけることができず、相手にもリラックスをさせられません。
腕だけで操作しようとするのではなく、腰で押して圧をかけていくイメージですると指先の力が抜けやすく、その分指先の感覚も鋭くなるのでリリースした感じも掴みやすくなります。

マッサージより効果があります。

硬くなっている組織に対してマッサージやリラクセーションなどでほぐしても良いのですが、多くは一時的な効果にとどまってしまいます。

筋膜は全身に波及しており、小さい頃の足首の捻挫や何十年も前の手術などが原因で筋膜がねじれて、そのねじれた状態で運動パターンが出来上がってしまいますので、一部分だけのマッサージではなく、全身をトータルに見て筋膜の連結をほぐしてあげることが高い効果を発揮します。

※筋膜の連結は後日紹介します。。

筋膜リリースの流れ

では、筋膜リリースの流れについて紹介します。。

①.姿勢、動作、過去の既往などから制限されている組織を同定する

②.狙った組織に対してリリースを加え、どっちの方向に動きにくいか評価する

③.動きにくい方向に対して圧をかけつつ伸張する

④.動作を再確認。良い反応が出たら⑤へ、反応が出なかったら方向や部位を変えてみる

⑤.反応が出る部位はそのまま15秒程、保持する。組織がゆるんだ感触があり、これ以上ゆるむ感じがなくなったら終了(状態によっては30秒程おく、文献によっては90程度が推奨されているものもあるが整骨院の現場ではこの程度がおすすめ。)

⑥.効果判定し、治療終了あるいは再評価し再度リリース

※捻挫や肉離れは損傷部位へたぐり寄せる様にリリースをすると傷口が閉じるのでそのまま整復し、固定をしましょう。

ポイント

・狙った組織に適切な深度の圧をかける

・治療者自身は力まずリラックスする

・筋膜の制限方向は一方向ではなく、3次元的に判断する

上記のポイントをふまえて実践してみてください。

リリースして好的反応がでたとしても、骨格の歪みや運動パターンが変わらなければ段々癒着が再発しますので筋膜リリースとセットで動作指導などもしっかり行ってください。

筋骨格系の障害には大きな効果がありますので是非お試しください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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