臨床推論『クリニカルリーズニング』

どんどん治療テクニック的な話を進めていきたいですが、紹介していく、どの治療をどんな症状の患者さんに処方するか、考えないといけません。

ただ首がいたいから首の治療マニュアルとかになっていませんか??

僕はそれが嫌いです。

今まで教えてきた後輩やスタッフにも『Why』(なぜ?)を大事にしろ!と口酸っぱく言ってきています。

そこで大事になるのが『クリニカルリーズニング』です。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

クリニカルリーズニングとは?

日本語訳すれば『臨床推論』であり、仮説とその検証の過程によって症状の原因を特定し、特定した問題点の解決に適した治療法を選定するというプロセス方法論です。

うーん・・・書いておいて何ですが、説明しにくいですね。

クリニカルリーズニングはなんなのか検索してみました。。。

限られた情報の中から、どのようにその障害像を捉え、さらにほかにどのような評価が必要なのかを思考し、最終的に問題となる原因について臨床的判断を下し、最適な治療プログラムへ結びつける一連の思考過程である。

うーん、わかりにくい笑っ。

調べてみると、知らない人にクリニカルリーズニングを簡単に説明してくれる文章を見つけることができませんでした。

そこで、今回は例を使ってクリニカルリーズニングを説明していこうと思います。

俺の桃を食べたのは誰だ?!

【クリニカルリーズニング】を、【大切に取っておいた私の大好物、桃を食べた犯人を見抜く過程】になぞらえてみましょう。

僕は最近桃が大好きで今年は30個は間違いなく食べました笑っ、

ある日実家に帰った時、冷蔵庫に桃を入れて、風呂からでると・・・・無くなっていました。犯人は母親か兄か妹なのですが、絞り切れません。

誰が食べてしまったのかを突き止めたいわけです。

そのような時に、あなたならどうしますか?

証拠を探してみましょう。

  • 口の回りに桃がついていないかチェック
  • 誘導尋問
  • 隠しカメラを設置
  • 目撃者を探す

その結果、疑惑は確信へ変わり、本人へ突きつけれるわけです。

相手が否定しても、証拠を基にした客観的判断により、私からお説教となるわけです。


クリニカルリースニングも同じです

整骨院での治療においても、これを応用してみましょう。

問題の原因について仮説を立てる

【冷蔵庫の桃が無くなった】というのは、『患者さんの痛み』と思ってください。

そして、【おそらく食べたのは、母・兄・妹の誰かだ】というのは『原因の仮説』です。

まずは、組み立ての最初はこのような発想から始まるわけです。立ち上がる時に腰が痛いと訴える患者さんだとすれば、『原因は、筋力低下・柔軟性低下・骨盤や腰椎のズレ、炎症によるもの』のどれかだろうと予測するようなものです。

仮説の検証(犯人さがし)は注意しながら

治療において、問題の仮説を立てたのは良いですが、思い込みで、問題点を決めつけてしまうことがあります。

触診しかしていないのに、「立ち上がりで痛むのはきっと起立筋が固まっているからだ」といっても、それだけでは信憑性がありません。

それだけでは、桃の例でいうと、『どうせ犯人は母親だ』と決めつけているようなものです。

これは、認知バイアスと呼びます。人は自分にとって、都合が良いように思い込むことがあります。

この場合、母親がよく自分のものを食べてしまう認識から、思い込んでしまっています。

治療においてもこういう事が多々あります。セミナーなどで学んだ技術を活かそうとしたり、自分の考えた仮説が合っていて欲しいと願うあまり、思い込みで問題点を決めつけてしまうことがあるので注意が必要です。

桃の例で言えば、【犯人に疑惑を持ったはよいが、証拠がそろっていない状態】です。

客観的証拠(評価)を集める

もっと証拠が必要です。

母親の行動について、兄に聞いてみましょう。「さっき桃を食べてたよ」との目撃情報。しかし、別の桃かもしれません。

もっと証拠を集めましょう。

隠しカメラを設置して、もう一つ桃を冷蔵庫に入れておきました。後日カメラを見たところ、妹が桃を手にしているのが確認できました。

これでもはや逃げ道はありません。

治療においても、評価(証拠)を集めましょう。一つの評価(証拠)では確定的ではありません。ストレッチ検査や、可動域、MMT、整形外科テストや動作痛、体のゆがみ・アライメント、動作分析なども検査をして、それらを総合して問題点を確定的なものへとしていきます。

証拠(評価)に、つじつまが合わないときは??

ここまで証拠を集めても、父親がやってきて「いや、桃を食べたのは兄だ」と言ったしたらどうでしょうか。

証拠のつじつまが合わないですね。

父親の意見は無視しますか?それとも集めた証拠はなかったことにしますか?

整骨院での治療中もこのような場面によくあいます。評価を積み重ねて問題点をピックアップしても、矛盾する結果がひょこっり顔をだすこともあります。

2つの仮説の種類

仮説には、以下の2つのものがあります。

  • 否定的な仮説→帰無仮説
  • 肯定的な仮説→対立仮説

桃の例でいうと、父親の意見は帰無仮説です。しかし、ここで父親の意見を無視してはいけません

治療も、問題点を確定する前に、批判的思考から考えるということは非常に大事です。考えることが増えるので面倒くさくなる気持ちは分かりますが、逆の目線から、この考えで大丈夫か?と一歩下がった視点から見る事もクリニカルリーズニングでは重要です。

父親が言う通り、桃を食べたのが、妹でなかったとしたら、兄妹喧嘩になり血を見る争いになるかもしれませんからね笑っ

治療的診断

クリニカルリーズニングは、治療やその後の効果判定までを含めるので、仮説を立ててアプローチした後の症状の反応もしっかり確認しましょう。

例えば腰椎をある方向に矯正をするとと症状が軽減するので正解の確率がグンと上がり、この仮説が当たっていたのでここが原因だった。という事を治療的診断といいます。

こういう風にアプローチの反応を確認したり場合によってはその反応すらも疑わなければいけません。(実は腰椎ではなく触ってることによって症状が軽減しただけだったり)

桃の話でいうと妹に『この前みんなの分桃を買っておいたんだけど妹も食べれた?』とかまをかけるようなイメージでしょうか笑っ

患者さんの体に耳を傾けるように心がけましょう。

最後に。

クリニカルリーズニングの、一連の流れを説明してみました。

ぜひ治療プランを組み立てる際には、『桃を食べたのは誰か?』と思い出し、なぜこのアプローチを展開していくかを考えて頂けたらと思います。

最後までありがとうございました。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

シェアする

フォローする