筋膜と筋膜リリースの基礎知識
私達柔道整復師は良く目にする疾患の中に筋肉の痛みや腱の炎症がありますよね?
マッサージだけで揉みほぐして慰安になっていたり症状を悪化させている整骨院もよく目にしますが、筋肉リリースを身に付けるだけでかなり治療の引き出しを増やせることになりますよ。
からだ全体のバランスの調整、コリ等へのアプローチや肉離れ・捻挫の整復にも使用する事ができます(^^)
筋肉は、筋外膜という薄い組織膜に包み込まれています。筋膜に包まれた筋肉は、さらにグループごとに筋膜に包まれています。
また、浅筋膜・深筋膜は一般的な筋肉の膜ではなく皮下組織、結合組織内を全身タイツのように体全体を立体的に包み込むため、組織を支える第二の骨格であるといわれています。
下の図のように全身タイツの一部を引っ張られると他の所まで引っ張られ動かしにくくなりますよね?
出典myofascial-therapy.com
この筋膜は柔らかい組織なので、萎縮・癒着(ゆちゃく:張り付く、くっついてしまうこと)しやすい特徴があります。この筋膜の委縮や癒着が時にコリや痛みを招き、筋肉の柔軟性を損なう原因になります。
筋膜の役割とは?
筋膜には様々な重要な役割があります。
- 各組織を包み込み、組織と組織の間に仕切りをつくり分けると同時に適度なバランスで引っ張り合いながら、体の姿勢を保つ役割を持つ
- 組織同士が動けるように滑走しあって動きやすくする
- 筋膜は、筋線維を包んでいる3つ(筋外膜、筋周膜、筋内膜)に構成された構造から、筋線維の動きを支え、力の伝達を行う
筋膜自身はコラーゲンでできており、85%が水分です。
水分の枯渇やストレス、同じ姿勢での長時間作業(パソコンやデスクワークなど)、筋肉の柔軟性の低下などにより、怪我や手術等により、筋膜同士が癒着してしまい、筋肉自体の動きを阻害してしまいます。
筋膜は全身を覆っている組織です。
例えば、腰や背中に痛みやコリのある方は、おしりやふともも、股関節部位などの「痛みのある部分の周り」の筋膜をリリースすることによって、症状を改善することができます。肉離れや腱炎の痛みなども同様で、損傷部位の上下の筋膜をリリースし損傷部位へたぐり寄せることによって、傷がふさがりやすくなり回復しやすくなります。
筋膜リリースとは?
筋肉や関節がスムーズに動くためには、筋膜の滑りの良さが必要です。筋膜を柔らかくし滑りを良くして、解きほぐすことを「筋膜リリース」と言います。筋膜リリースを行うことにより、筋肉の柔軟性を引き出し、関節の可動域を拡大します。
筋膜リリースとは、筋膜の萎縮・癒着を引き剥がしたり、引き離したり、こすったりすることで、正常な状態に戻すことを言います。
アイロンを使用するように、手を使って皮膚表面を引き剥がしたり、指で筋膜同士を引き離したり、手のひらでこするようにマッサージし、筋膜リリースを行ないます。
大事なのは深さと部位に合わせた面積の広さでしょう。
浅すぎては皮膚マッサージに、深すぎては筋繊維を痛め付けてしまいます。
この方法は高度な技術が必要ですが私もすでに10年近く利用しています(^^)
大きな引き出しになるのは間違いないのでぜひ身に付けてみてくださいね!
おすすめの本
ファッシャル・リリース・テクニック―身体構造のバランスを整える筋膜リリース技術