もくじ
頭部前方変位(FHP・フォワードヘッドポスチャー)について
整骨院で背術をしていると急性・亜急性や慢性疾患ともに、高確率で頭部が前方へ変位してる方を見かけると思います。
肩こりや寝違いはもちろん、腰痛や足の痛みまでこの頭部前方変位が原因かもしれません。
確り理解してアプローチ出来るようにしましょう!
知恵を頭に詰め込みすぎて頭が前に転位しないようには気を付けてくださいね(-.-)笑っ
頭部前方変位とは
FHPとは頭が体の軸よりも前に出た不良姿勢のことを言います。
主に胸椎や頚椎の後弯や前方転位によって起こります。
この状態を継続していると、体調への悪影響だけでなく外見も格好悪くなり、良いことはなにもありません。
できるだけ早く、FHPを治すことが大切なのです。そのためにメカニズムを知り
・筋膜リリース
・ストレッチ
・トレーニング
・整復法
・日常生活での意識
を覚え、FHPを矯正出来るようにしましょう。
ここでは、FHPの矯正方法と再発を予防する日常生活での注意点を記載しますので、実践して臨床に活かしてみてください。
FHPのメカニズム
FHPの始まりは頸椎の前弯減少・前方滑りや胸椎の後弯増強(kyphosis)・前屈位増強によって起こります。
正常な頸椎・胸椎は緩やかなS字ーブを作っています。
このカーブが様々な原因によって崩れてしまい、頭部が前に出た状態になります。
頸椎の原因が優位の場合はストレートネックや頚椎の後弯化が起きてることが多いです。
成人の頭の重さは平均6kgあり、頭部が前方に変位したり、下を向いた姿勢になると頸椎にはかなりの負荷がかかります。研究では、30度屈曲位で18kg、60度では27kgの負荷になると言われています。
FHPにより負荷がかかりやすい姿勢を続けてしまうことで頚部はもちろん体のあらゆるところに痛みが出る原因になります。
しかし病院に行っても、病気ではでないので「日頃の姿勢に注意しましょう」とアドバイスされるだけですし、マッサージ屋さんで負荷の加わったことにより起きた肩こりをマッサージされても原因はそのままなので、すぐに辛くなってしまいます。
しかしそのままFHPを放置すると
・姿勢が格好悪い
・肩や首がこる
・頭痛が起こる
・首が痛い、振り返れない
・肩が上がらない
・腰痛、下肢痛 などが起こりうるのです。
重たい頭を支えようとSBLが緊張し腰や下肢にも負荷が加わります。
症状の出ている所だけでなくFHPを整復することによって緩和できる病態も多いので次に書くアプローチ法も読んでみてください。
FHP整復法
筋膜調整
姿勢のタイプにより変わってきますが胸郭や斜角筋膜をリリースし緩めFHPを整復しやすくします。
FHPにより顎が上がっている時は後頭下筋郡も確りリリースし頭蓋骨が下方へ転がりやすくしておきます。
こうしておくと椎前筋の出力も上がりやすくなります。
※急性の関節損傷は炎症部位の近くはやりません。
胸椎・頚椎・頭蓋骨の整復
脊椎の位置異常に合わせて矯正します。
よくあるパターンは上部胸椎・下位頚椎の前屈位を矯正しながら上部頚椎の後屈位と頭蓋骨の前方転位・上方回旋を同時に矯正するテクニックを使います。
この辺は大事なところなので追々記事や実技で話していきます。
身につけると急性~慢性型疾患まで応用できます。
根本的にアプローチするためには下に書く他のアプローチも大事なのですが、その前にこれが確りできるかどうかが柔道整復師として大きな違いが出ます。関節の位置異常や運動異常に対してミリ単位の整復ができると治療が面白くなりますよ!
姿勢改善ストレッチ
①ストレッチポールを胸椎の後弯部にあて、万歳をするように腕を頭方向へ伸ばしていきます。
顎が上がらないように行うのがポイントです。手を遠くへ伸ばすことで胸筋や広背筋、腹直筋等がストレッチされます。
②今度は胸をストレッチして胸郭をひらいていきます。胸が広がると、背中、肩甲骨まわり、首の下の筋肉がゆるめられます。
ストレッチポールを縦に置き脊柱にそわせるように仰向けに寝ます。
前ならえ、の姿勢から腕を真横に倒していくと胸の筋肉がストレッチされます。
この時、ストレッチがかかり過ぎると良くないので、無理に腕を下ろさず、気持ちよく感じる場所までにしておくのがポイントてす。
カラダの動かせる範囲は個人差があります。エンドフィールと、反応を小まめに確認することが良い治療家のポイントてす。
胸をひらいた状態で自然に呼吸を行い、10~30秒を目安に行いましょう。
チンタックエクササイズ
仰向けに寝て後頭部を床側へ押し付ける運動です。
顎が上がらないように頭部を水平に沈めるのがポイントです。
これにより頭長筋・頚長筋にも出力させられます。
肩に力が入ったり、食いしばらないように注意しながら後頭部を押し付けます。ゆっくり3秒押し付け3秒止めてから元に戻るのを10回繰り返します。
僧帽筋エクササイズ
ストレッチを行いカラダの緊張を取ることで、一時的に不良姿勢は改善できても維持するためには、それ相応の筋力が必要です。特にFHPを改善するためには、頭部を前に出しにくくする僧帽筋の中部・上部を鍛えることが重要ですので僧帽筋を鍛えるエクササイズをご紹介します。
僧帽筋の中部と下部を強化するエクササイズです。
うつぶせになり肩が上がらないように注意しながら胸を張りながら肘屈曲位で上肢を真横から持ち上げましょう。
ゆっくり3秒であげて3秒止めてから下ろすのを10回を目安に行います。
なれたらセット数を増やします。
日常生活で気をつけたいポイント
どんなにストレッチやトレーニングを行っていても、日常生活で姿勢に気をつけなければすぐにFHPになってしまいます。再発防止をするためには、以下の3点に指導を行います。
・長時間のスマホ操作
・背もたれに寄りかかった状態での仕事
・皿洗いや料理等、下を見続けての作業
それぞれ気をつけるべきポイントをここでは解説します。
スマホ操作は目線の高さで
スマートフォンの操作をするとき、ほとんどの方が無意識に画面をのぞき込んでいます。
スマホは頭部前方変位が最も引き起こされやすい原因のひとつです。
予防するためには、操作する方と反対側の手を操作する方の脇の下に入れ
スマホを目線の高さに持ってくる事です。
患者さんに指導してみてくださいね。
よりかかって背中丸めない
椅子に長時間座っていると、疲れて寄りかかりたくなります。この姿勢も必要ではありますが、長時間続けるとFHPになります。背もたれに寄りかかることで、胸椎は後弯して、バランスを取ろうとするため、無意識に頭部が前に出てFHPになりやすくなります。
良い姿勢だけでいるのは難しいと思いますが、骨盤をたてて座骨で座り、背もたれに体重を預けないような座り方をするように指導を行います。
下を見続けたまま作業はしない
どうしても目が前にあり作業をする上肢が目より下にあることにより下を向いたままの姿勢で仕事をすることが多いです。
先程も書いたように下を向いたままの作業は頚椎にかなり負担をかけてしまいます。ゼロにはできませんが少しだけ頭を後に引く意識を持って作業したり、途中で1度体をおこしストレッチする事を心掛けましょう。
最後に
FHPの対処法と再発予防法を書いてみました。
姿勢が崩れることで、カラダに負担がかかり続けることにより慢性的な痛みにもなるし、急性疾患も起こりやすくなってしまいます。
紹介した方法を臨床に活かして、FHPを取り除き根本治療にちかずけましょう。
ただし、予防法にだけ走ると整体師化してしまいます。
柔道整復師としては、やはり整復法・矯正法をマスターして欲しいです。
さいごまでお読み頂きありがとうございました!