ストレッチの種類

皆さんご存じのとおり、ストレッチとは筋肉を伸ばして、柔軟性を向上させる運動です。

1960年頃にアメリカのスポーツ科学分野で使われ始め、1970年代後半から世界に広まりました。

意外に歴史はまだまだ浅いんです!

ピラティスやヨガの方がズーッと歴史が深いです。

しかし、これだけ早く世界的に有名になったストレッチはうまく使えばとても治療やその後のリハビリに役に立ちます!

今回は、スポーツ医学や、リハビリテーション医学の観点からストレッチの種類、方法、効果などを掘り下げていきます。

皆さんもたかがストレッチと思わず筋肉と一緒に頭も柔らかくして記事を読んでみてくださいね!(^^)

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ストレッチングの効果

筋の柔軟性の改善

関節可動域(柔軟性)の 改善

筋緊張の低下

血流増加

疲労回復

傷害予防

スポーツパフォーマンスの向上

筋力低下の予防

などがあり、それを期待して、行われている柔道整復師も多いと思います。

ストレッチングの種類

ストレッチングは、大きくわけて

スタティックストレッチ

バリスティックストレッチング

ダイナミックストレッチング

PNFストレッチング

があります。

スタティックストレッチ

反動や弾みをつけずにゆっくりと筋を伸張するストレッチです。

静的ストレッチとも言われます。

筋を伸張した状態で止めて、反動をつけずに10~30秒保持します。

反射性収縮が出ないよう、ゆっくり伸ばし痛みが出る手前で止めます。

そのため、筋損傷などがなく、安全であり、最も臨床に多く使われます。

筋の柔軟性を向上させ、関節可動域を拡大したい方は、このストレッチング方法が確実です。

ただし、筋肉の反射神経が悪くなったり緊張が弛緩するので伸長されている筋肉やスポーツ前には合いません

短縮固定や拘縮している筋肉を狙うのがおすすめです。

バリスティックストレッチング

施術者や自身により、反動をつけて筋を伸張するストレッチです。

動的ストレッチとも言われます。

強すぎると反動で筋紡錘が刺激されて、反射神経を刺激しながら柔軟性をあげられます。

しかし場合によっては筋緊張が上がる可能性があるので、可動域制限などがある患者さんには合わないことがあります。

伸長固定している筋肉やスポーツ前の、パフォーマンスを上げるため、使用するのがおすすめです。

勢いをつけるので、筋損傷を引き起こすリスクがあるので実施される際は、注意が必要です。

ダイナミックストレッチング

相反神経支配を利用してストレッチングに応用したものがダイナミックスストレッチです。

相反神経支配とは?

関節の動きを円滑にするために、主動作筋が収縮した時に拮抗筋が弛緩する反射のことです。

伸張したい筋の拮抗筋を収縮させることにより、対象の筋が弛緩します。

弛緩後は、ストレッチングを行い、収縮と伸張を繰り返します。

例   ハムストリングのストレッチ肢位で抵抗をかけ大腿四頭筋を収縮させてから弛緩させ、ハムストリングをストレッチする。

PNF応用ストレッチング

固有受容器神経筋促通法(Proprioceptive Neuro muscular Facilitation:PNF)を応用して行うストレッチです。

対象の筋とその拮抗筋のどちらか、または両方の筋の収縮と弛緩を繰り返す方法で、伸張されている筋の収縮を抑制する神経の仕組みを利用したストレッチです。

PNFはスタティックストレッチングと比較して、より効果があるといった報告が多くあります。

私も臨床で時々使用しますが、柔軟性を大きく得ることができます。。

そのPNFストレッチングは更に

  1. ホールドリラックス
  2. コントラクションリラックス
  3. スローリバーサルホールドリラックス

の3つに別れます。

ホールドリラックス

対象の筋を最大に収縮させて、その後の弛緩作用を利用しているストレッチングです。

まず、対象の筋に対して5~10秒ほどスタティックストレッチを行います。

次に筋を伸張した状態で、最大筋力の60~80%のくらいの力で等尺性収縮をさせ、これを3~5秒続けます。

その後、筋が弛緩させ、可能な範囲で筋を伸張させます。これを3~5セットを繰り返します。

注意点として、ストレッチ肢位で、筋を収縮させるので負荷が強いです。

そのため痛みが伴う場面もありますので、防御性収縮を起こさないように、患者さんの表情などを観察しながら行う必要があります。

ハムストリングスのストレッチ肢位で抵抗をかけ、足を下ろすように収縮させます。そのあと弛緩させたらハムストリングスを伸ばしていきます。

コントラクションリラックス

ダイナミックストレッチングと同様に拮抗筋の収縮による相反抑制の利用します。

ホールドリラックスとは逆に、対象の筋ではなく、拮抗筋を最大収縮の60~80%程度で収縮させます。

これを3~5秒続け、その後、筋が弛緩するので、可能な範囲で筋を伸張させます。これを3~5セットを繰り返します。

スローリバーサルホールドリラックス

この方法は上記のホールドリラックスとコントラクションリラックスを組み合わせた方法です。

まず、スタティックストレッチングを行い、その後、対象の筋を等尺性収縮後に拮抗筋の等尺性収縮させ、ストレッチングを行います。これを3~5セットほど行います。

ストレッチのよくある質問

ストレッチで筋力はアップするの?

スタティックストレッチの場合、筋力、筋瞬発力が低下します。

しかし、ダイナミックストレッチングの場合、筋力・筋瞬発力の低下が見られず、90秒以上のストレッチングでは筋力が向上が見られます。

実験でも、持続的に3~30日間のストレッチングを加えたところ、筋肥大を認めたとの報告もあり、ストレッチは方法や、持続時間により、筋力を向上させたり、低下させたりする可能性があるといわれています。

まぁストレッチで筋力をあげようと思うのはおすすめしません。

エクササイズができない部位に筋力低下の予防でストレッチをすることはありますが。

ストレッチによりパフォーマンスはあがるのか?

いまだに運動前にスタティックストレッチングがよく行われているのを見かけます。

そして、昔からスタティックストレッチをすることにより、怪我の予防、パフォーマンスが向上すると思われていました。

しかし、今は真逆のエビデンスがあります。

運動前のスタティックストレッチ後は怪我の数も上がりますし、パフォーマンスが下がることも証明されています。

しかし、ダイナミックストレッチは、パフォーマンスを上げるという報告があります。

そのため、スタティックストレッチングは、関節可動域の改善、筋柔軟性の向上目的で行い

運動前はバリスティックやダイナミックストレッチで、パフォーマンスを向上さる等、使いわけるのがベストですね!

また、関節可動域が高いと、外傷発生率が半分程度に下がるのでも普段からスタティックストレッチなどを行い、関節可動域を広くしておくことは、外傷予防に繋がると思われます。

ストレッチは筋肉痛を軽減するのか

ストレッチは、エクササイズによりおこる筋肉痛を軽減させることは可能と報告されていますが、効果はごく僅かみたいです。

ストレッチを活かした治療テクニック

①検査に活かす。

私は各筋肉を個別にストレッチできます。

治療にも使いますが、どちらかというと検査に活かす方が多いかもしれません。

どこを伸ばしたときにタイトを感じるか。疼痛が発生するか。

鑑別に活かせるので個別に伸ばせるようにしておくことをおすすめします。

②リリースウィズストレッチ

ストレッチをかけると痛みを感じることは多々ありますが、損傷・短縮した筋腹、筋肉の腱や上下の筋肉、連結している筋膜をリリースしながらストレッチをすると痛みがでなくなることがあります。短縮組織をストレッチしながらリリースするのか、損傷部位が塞がるように回りを伸ばしストレッチするのか、反応をみながら判断が出来ると、狙った組織への効果だけでなく、よりクリニカルリーズニングがスムーズになり、総合的な治療もうまく進めて行けます。

③ダイレクトストレッチ

関節の肢位によりストレッチ度合をコントロールするのが一般的ですが、ストレッチしながら腱または筋腹を指で圧迫し、微妙な筋の伸張具合をコントロールします。

この腱や筋腹を圧迫することにより、伸張する方法を『ダイレクトストレッチング』と言います。

おすすめの本

最後に

ストレッチングの種類・方法・効果について説明させて頂きました。

このようにストレッチングにも種類があります。

ストレッチを行っている先生も症状や伸ばす筋肉が置かれている状況を考え、使い分けることにより、より効果的なストレッチングが可能となるでしょう。

何でもかんでもスタティックストレッチで伸ばしていると、伸びている筋肉をさらに伸ばすことになり、症状を悪化させたり、怪我をしやすい体を作ってしまいますので注意してください。

この記事を読み是非役に立ててもらえたら嬉しいです。

最後までありがとうございました(^^)

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