膝関節アプローチワンポイント・下腿外旋症候群について

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下腿外旋症候群とは?

下腿外旋症候群とは、屈曲域での下腿外旋、伸展域でのわずかな下腿外旋・脛骨外方偏位を示す症候群のことである。

膝が痛い・曲がらない・伸びない変形性膝関節症やACL損傷術後、半月板術後にもよく見られます。

膝のアライメント不良の中ではとても多いパターンです。

  1. 下腿外旋位
  2. 下腿外方偏位
  3. 膝蓋骨外方偏位

の3つが同時もしくは個別に起こります。

主に大腿外側の組織(大腿筋膜張筋、外側広筋、腸脛靭帯、外側広筋)が緊張を高めてFT・PFjointどちらにも悪影響を及ぼす膝の状態。

この転位パターンを知っておくとアプローチの幅がより広がります。

もちろんスクリューホームムーブメントやextension lagにも繋がりやすい、関節の転位です。

膝OAと膝関節の転位

膝OAは進行すると

  • 脛骨の外旋角度増加
  • 膝内転角度増加
  • 脛骨前方移動の現象

が起こります。

下腿外旋症候群に影響する関節

足関節

距骨下関節の回内・回外の制限。

正しい運動では距骨下関節が回外で下腿も外旋されるのが普通だが、下腿外旋症候群では回内で下腿が外旋していることが多々あります。

膝関節

脛骨の内旋制限。つまり外旋位でアライメントが固定されることが問題。同時に腓骨も後方に引っ張られている場合が多い。

また、外旋症候群というなまえがついてるが、私的には外側転位がとても重要で脛骨上部が外側に変位している事がとても多い。

O脚でもX脚でも外側転位があることが多い。

股関節

股関節が外旋位で固定され股関節の外旋筋群が硬くなっている場合が臨床上多い。

しかし、股関節内転位のパターンも多いので、膝と股関節のバランスをしっかり判断しましょう。

骨盤〜脊柱

骨盤後傾が多い。脊柱に関しては総合的に後方に重心変位していることが問題になることが多いがこちらも色んなパターンを判断しなければいけない。

考える順序としてはまずは局所の膝。次に足関節・股関節の変位、そして骨盤から脊柱の影響を探っていくといいです!

膝の歪みは足関節と股関節の上下からの影響を受けやすいです。

脛骨内旋可動域の評価

  1. 背がい位で膝関節20〜30度屈曲位で、相手の力を抜いてもらう
  2. 他動的に脛骨の内旋可動域を評価
  3. 外旋の稼働域が大きく内旋しにくい場合は陽性

触診・視診

ポイントは5点。

  • 大腿骨外側上顆
  • 大腿骨内側上顆
  • 脛骨粗面
  • 腓骨頭
  • 脛骨内側顆

この5点を触診しながら膝の屈曲・伸展を行ってもらい、脛骨外側顆と大腿骨外側顆の位置関係やパテラの下に脛骨粗面があるかどうかを診察します。

スクワットテスト

荷重した時にどのように脛骨が回旋するかを評価。ポイントは上記の5点を評価するが、一番の指標は脛骨粗面がわかりやすいです。

下腿外旋症候群の治療

膝関節後方組織のリリース

問題となるのは主に後方の膝関節筋。

  • 外側ハムストリングス
  • 大腿筋膜張筋
  • 外側広筋
  • 腓腹筋外側頭
  • 総腓骨神経
  • 後方関節包

このあたりの軟部組織が硬くなり脛骨の内旋を制限する。後方には様々な組織が交差するので、交差ポイントでの癒着が起こりやすい。丁寧に組織の間をリリースしてみましょう。

癒着を剥がしたら筋肉のストレッチ・拮抗筋の出力をあげましょう。

膝関節前方〜側方のマッスルバランスの調整

下腿が外旋位に固定されるということは膝関節屈曲・膝蓋骨外側変位を引き起こすことが多い。

  • 膝蓋下脂肪体
  • 外側広筋
  • 大腿筋膜張筋
  • 膝蓋上嚢
  • 腓骨筋

これらの癒着も、結果的に下腿の外旋症候群を治しにくくしてしまいます。膝関節周囲の軟部組織は十分に柔軟性を保つことで膝を良い状態に保ちやすくなります。

脛骨の整復

周りの軟部組織を整えたら、直接骨の位置を矯正します。

位置関係をしっかり把握し、軽度屈曲位で脛骨上端を整復位に矯正し、MWMを、用い屈伸していきます。

この時に転がりと滑り・凹凸の法則・スクリューホームムーブも症状と転位に合わせ、ハンドリングしましょう。

外旋症候群に対するエクササイズ

このエクササイズを行う前に脛骨の内旋制限を改善しておくことが大切です。

①内旋エクササイズ

  1. 膝関節90度屈曲位
  2. 脛骨だけを内旋させる
  3. 10回繰り返す

この時に膝が代償で動かないように注意する。

②内側へ矯正するエクササイズ

1、軽度屈曲位で両膝を揃える

2、バンドで脛骨上端同士を固定する

3、ハーフスクワットを行う

正しいスクワットフォームで行う事と足を固定するので転倒しないように気を付けましょう。

膝関節以外の要素

  • 脊柱、骨盤のアライメント不良
  • 股関節のアライメント不良
  • ST関節のアライメント不良

局所の治療・エクササイズが終わったらこちらも修正していくと再発しにくくなります。

特に荷重する膝関節は別の要素の影響が大きくなります。

「膝のROMは良くなったけど、荷重時の痛みが変わらない。。」というのは全体の問題で下腿外旋が引き起こされているサインかもしれないです。

最後に

膝関節の不良状態の多くに下腿外旋症候群が影響してることがあります。

下腿が外旋する原因を把握しましょう膝だけに問題があるとはかぎりません。

下腿外旋の評価・治療・エクササイズを行い整復位を保てるようにしましょう。

膝関節を治療するには下腿の外旋という概念がとても大事になります。

臨床で下腿の外旋をしっかり評価してみましょう!

最後までお読み頂きありがとうございました。

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